ヴェネツィアを含むヴェネト州では、今月8日から移動の制限やイベントの一時中止が課せられてきました。
こうした制限措置はしだいに厳しくなり、3月下旬現在はバールやレストランも含め多くの店舗が閉店を義務付けられています。
今回の記事ではヴェネツィアの現在の様子を、写真や動画をまじえてお伝えします。
後半では、街がレッドゾーンに指定されると不便なこと、事前にしておきたい対策について書きます。
イタリア政府による制限措置
在ミラノ日本国総領事館のWebサイト 日本語で読むことができます。
ヴェネト州の情報
Regione del VenetoのWebサイトに掲載されていますが、こちらはイタリア語です。
ヴェネツィア市の情報
Comune di VeneziaのWebサイトに掲載されていますが、こちらもイタリア語です。
ヴェネツィアの現在の様子
現在のヴェネツィアの動画(2020年3月23日撮影)
サン・シルヴェストロ付近を歩きながら撮影した3分半の動画です。
ほとんどの店がシャッターを下ろしていますが、洗剤など日用品を扱う店、ペット用品を扱う店など一部、営業を許されている業種も……(BGMは筆者のチェンバロ演奏♪)。
現在の街の様子と影響
- 観光客は一人もいない。
でも住人はスーパーに行ったり、犬の散歩をしたりしているので、道には人通りがある。 - ラ・フェニーチェ劇場の公演はすべて休止。教会のミサもできない。
もちろん映画館やディスコも閉まっている。 - バール、レストラン、土産物屋、ブティックなどすべて閉まっている。
スーパー、タバッキ、郵便事情、薬屋、銀行などはあいている。 - 幼稚園から大学まですべて休み。
ピアノや空手などの習い事もできない。
その結果・・・
- 街はとても静かになり、運河に魚が戻ってきた。
- 観光業・経済活動の停止により、収入が止まっている住人も。
- 学校はオンライン授業をはじめている。
写真で見る現在のヴェネツィアの様子
いつもなら橋の欄干から、観光客が鈴なりになって運河の写真を撮っているリアルト橋。住人が2人わたっていくだけです。
こちらは運河の岸につながれたゴンドラ。観光客がいないのでゴンドラもお休みです。
いつもは街のいたるところで客待ちをしていたゴンドリエーレの姿もまったくありません。
ふだんならゴンドラだけでなくタクシーやモーターボートが行き交う大運河も静か。春の日差しがみなもにキラキラと反射してきれいでした!
船が減って運河に波が立たないので、魚の群れや鵜をみかけるようになりました。
でも市民の足であるヴァポレットは動いています。ただしダイヤは変更されています。
写真左下に並ぶテーブルと椅子はいつもならたくさんの人でにぎわっていますが、今はレストランも閉まっています。
リアルト橋の上に並ぶたくさんの店も閉まっています。
ヴェネツィアに来たことがある方ならご存知だと思いますが、いつも人であふれている大運河沿いの道も現在はとても静かです。昼の13時半とは思えない光景。
スーパーマーケット内では対人距離をあけるだけでなく、店内の人数も制限されています。写真は順番待ちのために並ぶ人々。
ヴェネツィアは住人の数に対してスーパーの数が多いのであまり並びません。ふだんは住民の何倍もの数の観光客でうるおっているので。
イタリアのほかの都市の中には、長蛇の列ができる街もあるそうです。
特定の理由でしか外出できないはずが、サン・ポーロ広場のベンチで休んでいる人がいました。
遠くに写る人は犬の散歩中。犬を散歩させることは許可されています。
たくさん鳩が写っていますね。やつらは基本的に観光客がなげる食べ物で食いつないでいたのだが、今は何を食べているのやら。
ちなみに鳩に餌をやることは条例で禁じられています。
橋の上に3人の警官がいます(黒い服を着ている人たち)。不要不急の外出をしている人を止めるためです。
筆者は呼び止められませんでした。カッレッロ(手前に写っている女性が持っているキャリーカート)を引きつつ一人で歩いていたので、どう見ても買い物帰りの住人だからな・・・
現在のヴェネツィア生活で不便なこと
仕事がなくなった
筆者は留学生ですがアルバイトで生計をおぎなっていたので、もっとも困るのは収入の道が断たれたことです。
レッドゾーンに指定された街のすべての産業が止まるわけではありませんが、徐々に規制される業種が増えていきました。
下記リストの日付はヴェネツィア市の場合です。
- 2月23日頃、イベントや大規模な集会の中止、学校の休校、美術館や博物館の閉館
この段階で音楽教室、コンサートなどが影響を受けました。 - 3月8日頃、レストランやバールの開店時間が6時から18時に限定され、1メートルの対人距離が保てない場合は営業停止とのアナウンス。プールやジムが閉鎖される。
観光客激減により外食産業は閉めるところも増えました。
筆者のバイト先は小さなB&Bだったので3月の宿泊予約はすべてキャンセルされて、バイトの予定はゼロに。 - 3月12日から、生活必需品の販売店・薬局をのぞくすべての小売店が活動休止。
生活必需品の販売店の中に食料品店、タバッキなどが含まれています。
対人距離1メートルなんて保ててないな~と思って眺めていたバールもすべて閉まることになりました。
ただし銀行・郵便局は稼働しています。
観光業に関わる人がほとんどのヴェネツィアでは、多くの住人の仕事が一時停止状態に・・・こうなると当然ですがベビーシッターのお仕事もありませんね。 - 3月23日から指定の活動を除き、全ての生産活動をイタリア全土で一時停止する首相令が出されました。
指定の活動は表にまとめられ、100近い業種が列挙されています。もちろん食料供給に関わる業種は許可されています。
学校活動はすべてオンラインに
音楽院、一般の国立大学、習い事それぞれの状況を説明します。筆者自身は音楽院の学生なので、やっぱり音楽院の話がもっとも詳しいです。
音楽院の場合
筆者の通う音楽院はGoogle meetというシステムを使ってオンライン授業をしています。
Google meetはGoogle ハングアウトのビジネス版。同時に会話できる人数が多くなっています。
パソコンだけでなくiPhoneでもAndroidでも使えます。
Google meetによる授業の様子
教授の講義をただ聞くだけの授業なら、おおむね快適です。
学生がひとりずつ順番に質問したり、意見を述べたりすることも可能。
しかし同時に発言することができません。
1対1ならよいのですが、複数人数でGoogle meetにつないでいる場合、システムが誰かの声を拾うとその参加者がクローズアップされます。
教授の説明に思わず「なるほど」と声を発してしまうと、いったん教授の音声が途切れる仕組み。
自然に会話ができるとは言いがたいね。
「こちら〇〇、△△さんどうぞ」って言えばスムーズになるかな…って無線か!?
また、30人以上の大人数で受ける講義科目の場合は、自分側のカメラもオフにしています。
授業中うっかり眠くなったとき、講義を聞きながらその場でスクワットすると目が覚める! これはオンラインレッスンの利点だにゃ。
実技レッスンの様子
音楽院なので実技レッスンがあります。各先生がそれぞれ門下の学生に連絡を取ってレッスン手段を決めています。
声楽レッスン
2つの方法から選べます。
- Google meetでオンラインレッスン
- 録音したmp3データをメールに添付して送信
筆者はメール送信のほうを選んでいます。
最初は、先に伴奏を録音して合わせて歌おうと思っていました。
しかし録音した伴奏に合わせて歌うには、タイミングを覚えるための練習が必要。無駄な努力に感じたのでやめました。
結局、前奏・間奏やレチタティーヴォだけ軽く弾きながら歌っています。
Google meetによるオンラインレッスンの場合も、ネットワーク回線による遅延が発生するので、先生に伴奏を弾いてもらうことはできません。
チェンバロレッスン
- チェンバロを持っている学生はGoogle meetによるオンラインレッスン。
- 持っていない学生はピアノやキーボードを弾きながら、通奏低音のオンラインレッスン。もちろんGoogle meet使用。
先生はパソコン画面の向こうで自宅のチェンバロを弾いてくださいます。
楽器をオンラインレッスンする難しさ
先生が演奏するチェンバロの音が割れて聞き取りにくい。
画面が縦型なので、先生はどうやらスマホを使っているらしい。
スマホのマイク機能の問題だと思われるので、高品質な外付けマイクを付けたら解決しそう……音楽系ユーチューバーが使うような製品。
演奏しながらだと音声が聞き取りにくい
通奏低音の授業なので、弾きながら「このバスの上に4と6を乗せるとCメジャーの第二転回形になって」などと言いがち。でもたびたび「え、なに!?」となってしまう。
楽器の音色にかぶって話してはダメらしい。
楽譜を示すことができない
「ここのところが、、、ええと3行目の5小節目なんだけど」などとまどろっこしい。
パソコンやスマホの画面に表示したPDFファイルをGoogle meetの画面で共有することはできる。しかし鍵盤を弾くときは楽譜を譜面台に乗せているので、リアルなレッスンのように指さすことができないのが不便。
手元が見える位置にスマホやパソコンを設置するのは難しい
楽器の譜面台にスマホを乗せたり、椅子にパソコンを置いたり工夫はするけれど、なかなか演奏している手元を映すのは難しい。
これもまたユーチューバーが持っているような、角度を自由に調節できる三脚があれば解決しそう…… こんなやつ
オンラインレッスンには色々と難点もあるけれど、それでもレッスンできるのはありがたいね。今が21世紀でよかった!
一般の学校
カ・フォスカリ大学のような大きな一般大学では専用のシステムを使ってオンライン講義がおこなわれているそうです。
学生は課題を自分でダウンロードし、終了後はまた指定の箇所にアップロードが必要。イタリア語で説明を読みながらおこなうので、はじめは戸惑うそうです。
小学校や中学校など義務教育もオンライン授業がおこなわれているそうです。
しかし小さなお子さんの場合はパソコン操作など、初めのうちは親がつきっきりで大変そう。
専門学校や習い事
シェアメイトは漫画家志望で週2日、漫画家になるための専門学校に通っています。
専門学校も休校中。オンライン授業をおこなっています。
物語のあらすじをメールで送って添削してもらったり、描いた絵をスキャニングして提出したりと、音楽と比べるとかなり機能しています。
子供のピアノやヴァイオリンの習い事も、Skypeなどのビデオ通話機能でレッスンがこころみられていると聞きました。
意外なところでは空手教室もオンラインでやっているとか。
画面に先生が映って、子供たちが先生の型をまねして動くそうです。
事前の対策や気を付けたいこと
美容院・理髪店に行っておく
美容院や理髪店は閉まります。
行こうと思ってたんだけど、忙しくて後回しにしているうちに営業停止になった……!
ということにならないように、行っておくことをおすすめします。
やりたいことをリストアップしておく
ヴェネツィアの場合、学校の休校ははじめは一週間だけ、それから毎週更新されました。
はじめから一ヶ月以上の長期休みになると分かっていたら、もっと計画的に過ごしたのに……
勉強したいこと、読みたい本、観たい映画など決めておくとよいと思います。
しかし活動規制が本格的になると、図書館・映画館・レンタルショップなどすべて閉まります。
便利なのは、
- 電子書籍読み放題サービスAmazon Kindle Unlimitedの無料体験
- 映画が見られるAmazon Prime Video無料体験
- 本を朗読してくれるサービス「Audible(オーディブル)」の無料体験
などです。アマゾンのサービスはほかの似たようなサービスと比べて安いうえ、いつでも1~2ヶ月の無料期間をもうけているのでおすすめです。
運動不足にならないように
テレワークになってレジャーにも出かけられないと運動不足が心配です。
ジムに行けなくても家のまわりを一人でランニングするなら許されるでしょ。
ロンバルディア州では3月22日から「屋外におけるスポーツ及び運動の禁止。一人で行う場合を含む」という事項が追加されたぞ。
自室で腕立て伏せやスクワットをしたり、ヨガやストレッチをするなど習慣化するのがおすすめです。運動不足は免疫力を低下させる要因。睡眠不足と共に気を付けましょう。
YouTubeにあるヨガ動画を見ながらやると楽しいよ。
食料の準備は必要?
ヴェネツィアの場合は、スーパーの棚がからになることも、人が殺到することもありませんでした。
でもニュースではイタリア以外の国でも色々な街で、人々がスーパーに押しかけ食料品を買う姿が放送されていました。ツイッターでも海外在住の日本人が、商品のなくなった店内の様子を写真でUPしていたり……ただ、
プチパニックが起こって混雑しているスーパーに近寄らなくて済むように、人々が落ち着くまでの数日分の食料があるとよいと思います。
現在のヴェネツィアの様子をまとめると
- 街はとても静かで落ち着いている
- 経済的には多くの人が厳しい状況
- 各種学校は試行錯誤しながらオンライン授業をおこなっている
最悪の事態を想定しながらも、この危機を生かせるように考えて行動していきたいですね。
また海外旅行できるようになったら……
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