ベネチアのアクアアルタ予報を知って、適切な時期に旅行しよう！

管理人は2016年からヴェネツィアに住んでいますが、2018年2019年と2年も続けて記録的な高潮に遭遇してしまいました！

こうした経験を生かして今回の記事では、

について解説します。

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ヴェネツィアのアクアアルタ予報

アクアアルタの予報を知るためのおもな方法は3つあります。

以下、順に解説します。

潮位予報センターが発表するアクアアルタ予報

公式のアクアアルタ予報は「潮位予報センター（Centro Previsioni e Segnalazioni Maree）」が発表しています。
ヴェネツィア市のホームページ内に潮位予報センターのアクアアルタ予報ページがあります（イタリア語の外部リンク）。

しかし正確な潮位予報は、直近3日間のみです。後述するように、大体の予測なら1年後まで見られます。

上の図は12月18日の午後にアクセスしたときのものなので、「12月18日13:30時点の予報」と書かれています。

潮位予報センターのアクアアルタ予報の読み方

1. 「Centro Previsioni e Segnalazioni Maree」でGoogle検索、もしくはこちらのサイト（潮位予報センター）にアクセスしてください。
2. 直近3日間のグラフが表示されているはずです。
3. 青い実線が季節風など天気も含めた条件で予測した実際の潮位予報、点線は月の引力など天文学的条件のみで予想した潮位です。
   実線の方を見て下さい。

A、いつの時点の予報か示している。「時間、日、月、西暦」の順。
B、通常潮位をゼロとしたときの潮位を示す（よってマイナスの値もありうる）
C、日付。これも日-月の順。Dicembreは12月（英語と似ているので分かりやすいかも）
D、満潮時の時刻と潮位(単位：センチメートル)を示す。高いと赤字になる。
E、干潮時の時刻と潮位(単位：センチメートル)を示す。

月齢から見たアクアアルタ予報

グラフの下に並ぶリンクから「previsioni marea astronomica」をクリックすると、月の引力による潮位の変化グラフを見ることができます。
こちらは1年後まで、月ごとのファイルが作成されています。
このデータに季節風や降水量といった天気予報データを加味して、直近3日間の予報が作成されます。

通常潮位+100cmを越えるとアクアアルタ？

何センチになるとまずいのか、というのは場所によって異なります。
サンマルコ広場は例外的に海抜が低いので90cm程度で浸水しますが、ほとんどの土地は100cmを越えなければ影響はありません。

後述するように、120cmまでなら浸水しない道を選んで歩くことができます。
140cmを越えると生活に支障が出てきます！

スマホアプリ「Hi!Tide Venice」

スマホアプリ「Hi!Tide Venice」は、上記の潮位予報センターが発表する直近3日間のデータを分かりやすく教えてくれるアプリです。
データそのものは潮位予報センターのものと同じですが、スマホですぐに見られるし、通知機能もあるので便利です。

「hi!tide Venice」の使い方

これがメイン画面です。
今日から3日分の干潮時、満潮時の潮位が表示されています。

Current tideが現在の潮位です。
ちなみに、標準潮位から何センチという表示方法です。

予報欄の右にある、小さなグラフのアイコンをクリックすると、1日の中の潮位の変化をグラフで表示してくれます。

 

「PLACES」のページでは、右下のプラスボタン（+）から地名を登録できます。
どこがどれぐらい浸水しているのか、現在の状況を知ることができます。

例えば一番上のAccademia(アッカデミア)は音楽院のある辺りです。
地名のすぐ下のAltitudeは海抜を表しています。
右の数字はマイナスなので、地面より水位が下だということが分かります。
緑の文字で「Regular」と表示されるので、直感的に大丈夫なことが分かりますね。

天気予報サイト「iL Meteo」

「iL Meteo(イル・メテオ)」は天気予報のサイトですが、独自にアクアアルタの情報を提供しています。
こちらは一週間分の予報が出ます。
潮位予報センターとは異なるデータなので、参考にしてください。

ヴェネツィアにアクアアルタが来る時期

ヴェネツィアにアクアアルタが来る時期は決まっているので、これから旅行の計画を立てる人は、なるべくアクアアルタの時期を避けて計画を立てましょう。

アクアアルタは冬の現象なので、「絶対にアクアアルタに遭いたくない！」場合は夏に訪れましょう。

アクアアルタの時期は晩秋～冬にかけて

アクア・アルタの季節は、通常11月上旬～2月です。
でも例外もあります。

日本語のWikipediaのアックア・アルタのページに、1923年以降に140cmを越える高潮となった日が載っています。
これを見ると、11,12月に多く発生していることが分かりますが、1936年には4月にアクアアルタが発生したという例外的事例が起こっています。

1966年11月4日；194 cm（最高位）
2019年11月12日；187 cm
1979年12月22日；166 cm
1986年2月1日；158 cm
2018年10月29日；156 cm
2008年12月1日；156 cm
1951年11月12日；151 cm
2012年11月11日；149 cm
1936年4月16日；147 cm
2002年11月16日；147 cm
2009年12月25日；145 cm
1960年10月15日；145 cm
2019年11月13日；144 cm
2009年12月23日；144 cm
1968年11月3日；144 cm
2000年11月6日；144 cm
2013年2月12日；143 cm
2012年11月1日；143 cm
2009年12月23日；143 cm
1992年12月8日；142 cm
1979年2月17日；140 cm

日本の台風は通常9月にたくさん発生しますが、過去には11月に発生したこともあるように、自然現象なので”想定外”はつきものです。

大潮の日に被害が大きくなる

大潮とは、満潮と干潮の水位の差がもっとも大きくなることです。
太陽と月の引力に関係しているので、一ヶ月に2回、満月と新月の日に大潮となります。

このために、潮位予報センターでは1年後の潮位予測を出すことも出来るのです。

アクア・アルタの日は、1日2回の満潮時に気を付けて

またアクア・アルタが来た日でも一日中水浸しになっているわけではありません。
水位は潮の満ち引きに大きく影響されるので、1日2回の満潮のタイミングでもっとも高くなります。

ヴェネツィアの中でアクアアルタの被害が大きい場所

アクアアルタが来たからと言って、島の中がすべて水浸しになるわけではありません。
ヴェネツィアのアクアアルタというと、一番海抜の低いサンマルコ広場が報道されることが多いけれど、サンマルコ広場に水が入っていても、駅前はなんの問題もないということはよくあります。

管理人も島の中で海抜の高い場所に住んでいるので、先月187センチの高潮が襲ったときも、家の前の道までは水が来なかったです。
冬に旅行するときは、海抜の高い場所を選ぶとよいかも・・・。

駅前は、+135cm以上で浸水する

ヴェネツィア市のサイトから借りてきた図をご覧ください。
駅前では、135センチを越えない限り道は水没しません。

160センチまで至っても、まあなんとか歩けそうです。
長靴必須ですが・・・

ちなみに図中に赤い破線で示された194cmのラインは、過去最高の高潮を記録した1966年の高さをあらわしています。

リアルト橋付近は、+105cmを越えるとアウト

カナル・グランデ(大運河)に面したリアルト橋の付近は、あまり海抜が高くありません。
通常潮位+105cmを越えると、道は水に沈みます。
ぎりぎり歩けるのは140cmぐらいまででしょうか、160cmでは膝のあたりまで水に浸かってしまうようです。

サンマルコ広場は海抜が低い

ヴェネツィアの島の中でもっとも海抜が低いサンマルコ広場は、80cmを越えると浸水し始めます。
120cm程度でかなり歩きにくいはずです。

この記事を参考にアクアアルタ予報を確認した結果、高潮予想の日にサン・マルコ広場を観光することが分かったら長靴必須です。

使い捨てのものは、一日中歩き回って観光していると破れてくるそうです。
不安な方は、かわいい色がそろっていて日本でも履ける、折り畳み長靴を持っていくのもアリかも……

　日本の台風のときにも活躍しそう！
こんな明るい色なら、雨の日もちょっと楽しい気分で過ごせそうですね。

通常潮位+120cmまでなら水没しない道

こちらの地図もヴェネツィア市からお借りしました。

緑のラインので示された道は、通常潮位+120cmまでなら沈まないそうです。
一方それをつなぐ赤い線は、パッサレッレと呼ばれる台を示しています。
アクアアルタが発生するとパッサレッレが設置され、その上を歩くことができます。

アクアアルタ予報に注意して快適な旅を！

というわけで、アクアアルタはかなり規則的に訪れるもので、避けようがあることを分かっていただけたかと思います。

「すでにアクアアルタの時期にヴェネツィア旅行の予定を入れちゃったんだけど!?」という場合は、しっかりと対策を講じれば大丈夫！
だってアクアアルタが来るヴェネツィアで、暮らしている人がたくさんいるんだから(管理人もそのうちの一人)。
こちらのページで、アクアアルタの対策を紹介しています。

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関連記事　【ヴェネツィア観光】英語は通じる？散策を楽しみたいけど迷路のよう？

万一の場合にも備えておけば安心

パッサレッレは便利だけど、濡れた長靴で台の上を歩くのは気を遣います。
また、アクアアルタは引き潮の時間帯にはおさまりますが、濡れた石畳や太鼓橋を歩くのもちょっぴり危険。
旅行中の不安にも備えがあれば安心です。

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