クイーンの人気曲「We will rock you」は、一度聞いたら忘れられない印象的な楽曲です。
今回の記事では、We Will Rock Youの楽曲の魅力を通して、クイーンの人気の秘訣を探ってみたいと思います。
We Will Rock You(ウィ・ウィル・ロック・ユー)とは
We Will Rock Youは1977年発売、6枚目のオリジナル・アルバムNews of the Worldの1曲目におさめられています。
2曲目も大ヒット曲、We Are The Champions(邦題「伝説のチャンピオン」)。
この2曲のつながりが、またグっと来ますね。
アルバム・タイトルNews of the Worldはイギリスの新聞から取られています。
このアルバムの発売当時の邦題は「世界に捧ぐ」でした。
昔は映画にも音楽にも、邦題という味のあるシステムがあったんですよね~
シングル盤は2年後の1979年に発売されていますが、オリジナル・アルバムからではなくライブ盤であるLive Killersからのシングルカットです。
Live Killersはクイーン初のライブ盤で2枚組。We Will Rock Youは1枚目の1曲目におさめられ、ここでも幕開けを飾っています。
そしてライブの最後を締めくくる We Are The Championsの前にもう一度演奏されています。
We Will Rock YouとWe Are The Championsの2曲はほとんどいつもライブで続けて演奏されていたため、つながった1曲だと思っていた人もいたとか!?なんて話を聞いたことがあります。
We Will Rock Youはギタリスト、ブライアン・メイの曲
管理人は20年来のクイーンファンですが、最初にクイーンの魅力に夢中になった10代の頃は、ヴォーカルのフレディ・マーキュリーが書くメロディアスな楽曲とロマンティックな歌詞が好きでした。
最近大ヒットしたクイーンの伝記映画のタイトルにもなったボヘミアン・ラプソディーや、Somebody To Loveのようなクラシカルな曲に惹かれていました。
でも We Will Rock Youは、こうした曲とはまるで趣が異なります。
足踏みと手拍子による明確なリズムに支えられたヴォーカルはラップ調で、流麗なメロディはありません。
旋律よりリズム重視の楽曲なので、それがクラシック・オペラを思わせるボヘミアン・ラプソディーなどとは全く違って、ロックな印象に仕上がっています。
ひとつのバンドでありながら実に多彩な音楽性があるのが、クイーンの魅力のひとつだと思います。
多彩な音楽性の秘訣は、メンバー4人全員がソングライターだったからでしょう。
We Will Rock Youはギタリストのブライアン・メイの作詞作曲です。
コードはEm7(マイナーセブンス)一本!?
ギターはコード楽器なので、ギタリストのソングライターは曲を書くとき、コード進行を組み立てたり、ロック系だとリフから作曲する人が多いように思います。
でもWe Will Rock Youは少し変わっていて、曲のほとんどが足踏み、手拍子、ヴォーカル、コーラスで組み立てられているので、コード(和音)やハーモニー(和声)を感じさせません。
でも和声がなくても音楽はじゅうぶんに成り立つんですよね。
西洋のクラシック音楽では和声が重要なはたらきを担っていますが、歌舞伎の下座音楽や能の謡(うたい)など日本の伝統音楽には、西洋音楽的な和声が存在しないように聞こえます。
ポピュラーミュージックにおいてはリズムが重要な役割をになっていますが、We Will Rock Youはまさにリズム→メロディ→ハーモニーの順に曲が展開していきます。
前奏はあの有名なドン、ドン、パが8回繰り返されるだけ、それからヴォーカルが入り、リズムだけをバックに3コーラス歌ったところでギターのハーモニクスが鳴ります。
OutroはAメジャーコードのリフになっています。
でも曲自体はAメジャーではないのがおもしろいところ。
ベースもギターも入らない曲ですが、メロディラインからコードを判断するならEm7(マイナーセブンス)になります。
ヴァースもコーラスもEm7一本!と考えたらロックですね~
ギターの1弦と6弦は普通Eにチューニング(調弦)するので、Eマイナーはギタリストにとって押さえやすいコードです。
次曲 We Are The Championsへのつながりが気持ちいい!
アルバムでもライブでもWe Will Rock Youの次はWe Are The Champions――という話はすでに冒頭でしましたが、We Are The ChampionsのキーはCマイナーです。
Aのコードをかき鳴らしてWe Will Rock Youが終わると、しっとりとしたフレディのヴォーカルとピアノがCマイナーではじまる――この、短3度上の調への転調というのが気持ちよさの秘訣です。
短3度音程の転調というのはポップスにはよく使われるテクニックで、上へ転調しても下へ転調しても、“上がった”ような気分になるのです。
もとの調との結びつきが強すぎないので、転調したことがはっきりと分かって雰囲気が変わって聞こえるにも関わらず、かと言って突拍子もない転調には聞えません。
例えばトニー・クリスティの1971年のヒット曲「(Is This the Way To) Amarillo(ニール・セダカ作曲。邦題「恋のアマリロ」)」では、
Aメロ:Aメジャー(イ長調)
↓
Bメロ:短3度上の調であるCメジャー(ハ長調)
↓
サビ:短3度下の調に戻ってAメジャー(イ長調)
という作りになっていて、だんだん盛り上がっていく王道のポップソングに仕上がっています。
We Will Rock YouとWe Are The Championsを続けて聴くと、一気に世界が変わるのに不思議とつながって感じるのは、コードのつながりに秘密があるからだと思います。
でもそれだけではなく、ロック調のWe Will Rock YouのすぐあとにWe Are The Championsを聴くと、フレディのヴォーカル表現の多彩さにも気付かされます。
クイーンは4人のメンバーそれぞれが優れたソングライターですが、皆の書く異なる個性の曲を歌い分け、それでいていつも唯一無二の個性が光っているフレディのヴォーカルがあってこそ、メンバーのソングライティング能力が生かされるのだと思います。
またブライアン・メイは大変インテリジェンスなギタリストで(物理学の博士号を持っているだけでなく音楽的にも!)、馬鹿の一つ覚えみたいにいつもペンタトニック・スケールでギターソロを弾くロックンローラーではありません。
曲によってペンタトニック・スケールとダイアトニック・スケールを使い分けてソロのフレーズを組み立てています。
そのおかげで、ブルースの香りが漂うハードロックな曲から、オペラ風コーラスが印象的なクラシック調の曲まで、どんな曲でもかっこいいソロを聴かせてくれます。
We Will Rock Youの歌詞の秘密
We Will Rock Youの歌詞は3コーラスともBuddyという呼びかけから始まります。
その相手は、1番はboy、2番はyoung man、3番はold manとなっています。
フレディのヴォーカルを聴いていると、繰り返されるコーラスの「We Will Rock You」のフレーズは、「俺たちクイーンがお前らをRockしてやるぜ」の意味に聞こえるので、呼びかけも当然、少年から老人まですべての年代に語りかけているのだと思えます。
続けてWe Are The Championsを聴くと、なおさらそう感じるのですが――
でもこの歌詞を書いたのはあのインテリ、ブライアン・メイなんですよね。
こんな単純な詩を書くでしょうか?
彼の書いたGood Company(クイーンの4枚目のアルバム「A Night at the Opera(オペラ座の夜)」に収録)では、曲頭パイプをくゆらせながら説教する父の言葉を聞いていた少年が、成長して結婚し、小さな会社をひとつ所有するものの、曲の終わりには歳を取って家族もなく、パイプをくゆらせながら語るにも話を聞く者がいないという様子が描かれます。
(Vocalもメイさんがとっています)
Good Companyのように曲が進むにつれて時が経っているという解釈をするなら、boyもyoung manもold manもすべて同一人物でしょう。
ビッグになりたいと望んだ少年が、若者の頃には世界を手に入れるんだとストリートでシャウトし、老人になったらいつの日か安らぎが訪れることを望んでいるのだとしたら、聴く者を鼓舞する応援歌のイメージはかなり変わります。
でもたとえ、ブライアンがちょっとした皮肉を込めて書いた歌詞だとしても、ライブで歌うときのフレディは確かに、ファンに向けてRock you!と歌っていたでしょう。
フレディは複雑な人間性を持つ人ですが、彼のロックスターとしての部分はLet Me Entertain You(1978年のクイーンのアルバムJazzに収録)のような曲によくあらわれています。
この曲の歌詞にあらわれる「gonna rock you gonna roll you」は明らかに「君をロックしてロールするぜ」の意味でしょう。
「僕がここにいるのは君に体を売るためさ」「クレイジーなパフォーマンスを見せよう」「メニューをご覧ください、ロック・ア・ラ・カルトを差し上げます」など、フレディのエンタテイナーとしての面目躍如な歌詞が飛び交います。
だからそんなフレディ・マーキュリーが歌っている以上、We Will Rock Youもファンを誘い、盛り上げ、自信満々に「ロックで楽しませてやる!」と歌う曲だという解釈をしてもよいと思うのです。
クイーンの楽曲を使ったミュージカル『We Will Rock You』
2002年にクイーンのヒット曲22曲を使ったミュージカルが作られました。
日本には2004年にオーストラリア版キャストが来日しました。
管理人は新宿コマ劇場に4回も観に行きました!
ストーリーは遠い未来を舞台にしたSFで、ロックシーンを描いたものではありませんが、歌や演奏が圧巻で、一人で行ったり家族を連れて行ったり友達と行ったり――と何度観ても楽しい舞台でした。
ライブではなく、スタジオでのレコーディング版のフレディの歌を再現して生で歌ってくれるので、すごい!!と感動しました。
というわけで――
クイーンの多彩な魅力の一端が少しでも伝わっていたら幸いです!
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こんばんは!日本は今、午後21時15分
世界水泳の中継を観ながら書いています。
さっき、イタリアの人が一位だった!うわっ!はやっ!
・・・それは置いといて
クイーンはかっこいいな!
この前、賃貸マンションの騒音対策のため
近くの公園で歌の練習(お気に入りのトスティ)していたら
一人の女性が立ち止まってじっときいているではありませんか!!
なんか気まずい・・・でも、とまらない(笑)
すると、その人が、
「それ、何の曲?すごく、きれいな曲ですね!」
と、いうではありませんか!
え~!?(←心の中の声)
「これは、イタリアの作曲家のトスティっていう人の曲です。」
というと、
「イタリア???そんなんあるの!?日本人ですよね?」
っといわれたので、大笑いしてしまいました。
私、どこからみても、日本人。
・・・ところで、最近、ドナウディっていうの知って
今日、楽譜を手に入れたところです。
「Quando ti rivedro]
ぐっときた~~!!
いい曲だと思います。
明日から、you tubeを参考に毎日練習です。
ドナウディ、いい曲がたくさんありますよね!
日本でバロック声楽を習う前、普通の声楽を習っていたのですが、
そのときベッリーニ歌曲集→トスティ歌曲集→ドナウディ歌曲集の順で勉強しました。
もちろん途中で戻ったりもしたのですが。
歌いやすくロマンティックなトスティの旋律に比べ、
ドナウディはちょっと古楽的な音楽への懐古趣味っぽい要素も垣間見えて、バロック好きの私としては楽しかったです。
が、結構すぐに古楽の声楽の教室へ移ってしまったので、ドナウディはほとんどやっていません。
イタリアロマン派の歌曲、好きだったので古楽の勉強の隙をみつけて歌いたいですが、音楽院って予想以上に詰め込まれるので暇がないです~(泣)
公園で歌うのは気持ちよさそうですね!
通行人の方がこれを機にトスティなどイタリアの近代歌曲に興味を持ってくれたら嬉しいですね☆
世界水泳の大会なんてあるんですね
スポーツ関係のニュースに疎いので知らなかったです・・・
ドナウディ、楽しく練習できますように✨