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絶対音感と相対音感、どっちがいい?【音楽やるにはもっと大事なことがある話】

絶対音感、相対音感 どっちがいい?音楽家の小噺
この記事は約7分で読めます。

絶対音感と相対音感ってどっちがいいんだろう? 絶対音感持ちってすごいのかと思っていたけど、相対音感のほうが臨機応変に対応できて便利だとか言うし、純粋に興味があるんだ。

このような疑問に答えます。
その答えはズバリ、

  1. なんの音楽ジャンルをやるか、どの楽器を選ぶかによるよ!
  2. それでも比べるなら、絶対音感のほうが便利なことが多いかな。
  3. しかし、この質問をしたきみが8歳以上ならもう選べないはず!

記事の中で、理由を詳しく解説します。

ちなみに筆者は3歳から音楽教室に通っていたため絶対音感が身に付いていました。
音楽活動をする中で、
絶対音感があって良かったな!
と思うことが多かったのですが、古楽を学び始めてからは、
絶対音感があるとちょっと大変だな!?
と思うこともしばしば。

絶対音感にはメリット・デメリット両面があることを実感しています
この話は「絶対音感vs相対音感-バロック音楽演奏者から見たメリット・デメリット」で詳しく書いています。

絶対音感・相対音感どっちがいいかは楽器やジャンルによる

絶対音感・相対音感どちらが有利になるのかは、演奏する楽器やジャンルによって変わります。
なぜなら楽器や音楽ジャンルによっては、楽譜に書かれたDoの音がつねにDoであるとは限らないからです。

ちょっとなに言ってるか分からない。

それじゃあ例を挙げて説明しますね!

移調楽器

移調楽器のクラリネット

移調楽器のクラリネット

Photo by Hal Gatewood on Unsplash

管楽器に多い移調楽器。
たとえば「B♭管のクラリネット」では、楽譜にDoと書いてあるとき演奏する実音はSi♭。
絶対音感があると、記譜上の音符と耳に聴こえる音がずれて聴こえることになります

一方相対音感ならば、変ロ長調の音階であってもDo,Re,Mi…で理解できるので、混乱しないで済むわけでです。

古楽の演奏

絶対音感とチェンバロ

現代のチェンバロはピッチを変えられる仕組みをもつ

バロック音楽ではよく「古楽ピッチ」といって半音下げのピッチが使われます。
半音下げた方がヴァイオリンなど弦楽器の弦の張り方がゆるやかになるので、やわらかい音色で弾けるからです。
しかし絶対音感があると、ヘ長調の曲がホ長調に聴こえるなど不便なことが起こります。

古楽を演奏しているとほかにも、無伴奏の多声音楽を歌うとき、平均律以外の音律で歌うときなど、絶対音感があだになるシーンが存在します。詳しくは過去記事「絶対音感vs相対音感-バロック音楽演奏者から見たメリット・デメリット」で実例を挙げて書いています。

ヘヴィメタルのダウンチューニング

ロックバンドのライブ(イメージ画像)

ロックバンドのライブ(イメージ画像)

Photo by Alexander Fradellafra on Pixabay

ヘヴィメタルでは音楽をより重く聴かせるためダウンチューニングが使われることがあります。半音下げや全音下げ、それ以上もあるらしい…
たとえば全音下げの場合、絶対音感のギタリストの耳にはEmの運指で弾くとDmが鳴るということになりますね。

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絶対音感のほうが便利なことが多い?

移調楽器や、標準ピッチが変わるジャンルの話をしましたが、それでも絶対音感があったほうが便利だと感じる人が多いのではないでしょうか?

なぜなら、愛好家の方も含めて音楽にふれる全人口を考えた場合、移調楽器を演奏する人数よりピアノなど移調しない楽器を演奏する人数のほうが多いでしょう。
また、標準ピッチが変わるジャンルを紹介しましたが、クラシックの中で古楽を演奏するのは少数派です。同様にバンド活動をする人たちの中で、ダウンチューニングのヘヴィメタルをやるミュージシャンも決して多くはないでしょう。

よってプロアマ問わず大多数のミュージシャンにとって、絶対音感は便利なものだといえます。

絶対音感・相対音感どっちがいいか選べるのは6歳頃まで!

ここまで絶対音感・相対音感どちらが便利かという話をしてきました。
でも、そもそも論として絶対音感を身につけるか相対音感にしておくか選べるのは小さなお子さんだけですよ?という話です。

絶対音感は遅くとも6歳頃までに訓練をはじめなければ身に付かないとされています。
2歳から通える絶対音感クラスを開講している小林音楽教室のサイトによると、

  • 絶対音感を身につけられるチャンスは幼児期に限られている。
  • できるだけ早く訓練を開始することで習得の確立が高まる。

この文章を読んでいるあなたが、小学校高学年以降の大人なら「どっちがいい?」と選ぶ選択肢はないわけです。
大人が今から絶対音感を身に付けることはできないし、逆に幼児期に絶対音感が身に付くと一生、音がドレミで聞こえます。筆者の場合は15歳でピアノのレッスンを辞めたのですが、その後も音感は変わりません。
もしかしたら音楽から何年も離れていれば聞えなくなるかも知れませんが……(筆者は15歳以降も音楽をやっていない時期がなかった――バンド活動、コンピュータ・ミュージック、声楽などジャンルはさまざま)。

でも絶対音感か相対音感か変えられないというのは、実はあまり重要な話ではないかもしれません。というのも、

  • 絶対音感の有無と、演奏能力の素晴らしさに相関性は無い
  • 耳の能力で言えば、むしろ相対音感や和声感覚が重要
  • 楽譜の読み書き、コード理論など学ばなければ習得できない

音楽の世界は、幼児期に身につけた絶対音感のおかげで優秀になれるほど甘い世界じゃありません。
絶対音感はコンピューターの世界で言うショートカットキー、料理で言う電子レンジみたいなものです。
あったら便利!

絶対音感の有無と演奏能力は関係ない

演奏能力の向上は、正しい方法でトレーニングを積むことです。
筆者は日本でもイタリアでも色々な先生に習いました。鍵盤楽器だと絶対音感を持っている先生が多かったですが、歌の先生は相対音感の方ばかり見てきました。もちろんプロの歌手で、すごくいい声&正確なピッチで歌われるので、絶対音感とか全く関係ないですね。

でも感性や表現力は練習だけでは身に付かないのでは?と思う方もいらっしゃるでしょう。
感性を磨くには一流の演奏をたくさん聴くこと、そして音楽以外でも心を動かすこと、実際演奏するときに”自分はどういうときに感動するのか”思考することが大切だと思います。
絶対音感という狭い範囲の話ではなく、耳と頭が重要です。

相対音感や和声感覚が重要

絶対音感以上に、相対音感や和声感覚、調性をとらえる能力が重要だと思います。
大切なのは音と音名が結びつくことより、その音が音楽の中でどのような役割を果たしているか感じることだからです。
そして相対音感、和声感、調性感などは小学校入学後に音楽教育を受けてもじゅうぶん身に付きます。

音楽理論を学び、ソルフェージュ能力を高めよう

イタリアの音楽院に授業風景。和声課題

イタリアの音楽院の授業風景。黒板に書かれた和声課題

クラシックなら楽譜の読み書き、ロックならコード理論やスケール、ジャズならモードなど学ぶべき音楽理論はたくさんあります。
音大の聴音の授業で、絶対音感があると有利という話を「絶対音感vs相対音感-バロック音楽演奏者から見たメリット・デメリット」に書きました。でも楽譜に書き起こせなかったら音名が分かっても意味ないですよね……
このように絶対音感は便利だけれど補助的な能力にすぎず、本格的に音楽を学んだり楽しんだりするなら、そのほかの勉強が不可欠です。

お子さんに絶対音感をつけさせてあげたい?

ここまで、絶対音感があってもなくても大切なのはその後の音楽との向き合い方、という話をしてきました。
でも絶対音感を習得するチャンスが幼児期に限られている以上、お子さんにはなるべく多く可能性の扉を用意してあげたいと思うのが親心だと思います。

筆者自身はヤマハ音楽教室の3歳児ランド、続いて幼児科――と小さい頃から通っていたので絶対音感が身に付いたようです。といっても絶対音感のために通っていたわけではなく、楽しんで通っていたら自然に身に付いたというだけです。

東京都内限定ですが、絶対音感習得を目的とした幼児向けコースを開講している音楽教室があります。

耳の発達ぐあいは子供によって異なるので、個人レッスンでひとりひとりに合わせた絶対音感の訓練をするそうです。
気になる方は無料の個別相談&教室見学をしてみるのがよいかも……お子さんが楽しめたら嬉しいですね。

小林音楽教室の絶対音感クラスへアクセス

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