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絶対音感vs相対音感-バロック音楽演奏者から見たメリット・デメリット

絶対音感・相対音感のメリット、デメリット 音楽家の小噺
この記事は約10分で読めます。

物心ついたときから音楽が恋人の管理人です。

絶対音感を持っている人は、すぐに音名を言い当てることができたり、曲のキー(何調か)が分かったりと、とても便利そうに見えます。

音楽家になるには、やっぱり絶対音感があると有利なのかな?

筆者は3歳から音楽教室に通ったので絶対音感があります。
11年間ピアノを習った後、バンド活動をしたり、バロック音楽を学んだりと、色々な音楽体験をした中で、絶対音感にはメリットとデメリットがあると感じました。

この記事を読むと……

  • 絶対音感が役立つのはどんな場面? メリットが分かる
  • 音楽活動をしていて、相対音感のほうが有利になるときが分かる
  • 演奏家にとって、絶対音感のあるなしに関係なく何が大切か分かる

Photo by Denise Jans on Unsplash

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 結局、絶対音感・相対音感どっちがいいの?という方は、
こちらもどうぞ 絶対音感と相対音感、どっちがいい?【音楽やるにはもっと大事なことがある話】

絶対音感とは? 相対音感とどう違うの?

ヴェネツィアの音楽院内の様子

打楽器が並んだイタリアの音楽院内の様子

まずは定義の確認です。

絶対音感=固定ド

絶対音感は「固定ド」とも呼ばれる通り、ドの音は常に「ド」という発音で聴こえるように感じます。
音高と音名を記憶で結び付けている記憶力なので、音楽が――時には音楽以外の音も、ドレミで聴こえます。

筆者は、すきま風やサイレンなど音楽以外の音も、ピューとかピーではなく、ドレミで聴こえます。

相対音感=移動ド

相対音感とは、何調の音楽を聴いても、ハ長調に移調して捉える能力です。

相対音感を身につけた生徒さんにピアノを教えたことがあるので、彼の例を紹介するよ!

ピアノ教室の生徒さんに、相対音感を身に着けている8歳の男の子がいました。
彼はテレビなどで聴き覚えた曲をピアノで弾くのですが、必ずハ長調で弾きます

冒頭を弾いたあとで「続きを教えて」と言われました。
筆者は知らない曲だったので、その場でYouTubeにアクセスし、耳コピして弾くことにしました。
絶対音感を持っている私がオリジナルキーで弾くと彼は、「このポジションで弾いて」と、ハ長調に移調するように求めてきました。

絶対音感を持つ人間は、聴いた曲をハ長調で弾くには移調しなければなりません。
一方、相対音感を持つ人にとって、耳で聴いた曲をハ長調で弾くのは自然なことです

絶対音感のメリット=相対音感のデメリット

ヴェネツィアの音楽院、教室の様子

グランドピアノとパイプオルガン

絶対音感のメリット(1) 聴音課題が簡単

聴音の授業や試験では絶対音感を持っていると、相対音感の学生に比べて非常に簡単です。
なぜならどの音も、ドレミという言葉で聴こえているからです。

音楽院の聴音の試験では、先生がまず基準音として「La」の音をピアノで弾きます。
それから課題のフレーズを弾くのですが、相対音感の学生は「La」と課題のフレーズの最初の音の音程を聞き取って、課題の調を聞き取ります

一方、絶対音感の人間は基準音がなくても聴いた曲が何調なのかを瞬間的に把握できます(調性音楽の場合です)。
移調の多い曲や、臨時記号がたくさん現れる曲でも、音名そのものが頭に浮かびます。

絶対音感のメリット(2) 飛び入りセッションも心配無用

筆者は日本に住んでいたころ、月に2回ぐらいブルース系のライブバーで行われるセッションデーに遊びに行っていました。

ワンコード、もしくはブルース進行など、単純な和音進行を決めて、その場で出会った人同士が即興でアンサンブルをし、一人ずつソロを回していきます。
キーやコード進行について「Aのブルースで」などの打ち合わせはありません。
いきなりベーシストがファンキーなベースリフを弾き出して、そこに各パートが乗っかっていきます。

絶対音感があると、すぐにほかのパートの人が弾いている音が分かり、自分の演奏に反映することができます。

絶対音感のメリット(3) 新しい曲を覚えやすい

絶対音感を持っていると、譜面を見ただけで頭の中のピアノが鳴るので譜読みが早く、新しい曲を覚えるのが簡単になります。

絶対音感があっても音痴はいる

絶対音感持ちにも音痴はいます
自分の歌ったピッチがずれていたら分かりますが、正しいピッチで歌えるとは限りません。
正確なピッチで歌うために声帯を動かす筋肉や神経を微調節する能力は、トレーニングで手に入れるしかないからです。

筆者は小学生の頃、作曲しているとき自分で思わず歌ってしまうと、ピッチがおかしいせいで、思いついた旋律が頭から消えていくという悲しい現象に見舞われていました。
なのでいつも、曲が思いついたら黙って五線譜に向かって書き留めていました。

正しいピッチで歌えるようになってからは、思いついたメロディーを歌いながら作曲できるようになったよ。便利!

絶対音感があると耳コピも楽ちん

学生時代、軽音楽部でコピーバンドの活動をしたことがあります。

バンドスコアを買わずに耳コピするとき、絶対音感を持っていると簡単でした。
ヴォーカルは歌詞と音名が二重音声のように聴こえます
楽器は、コードが瞬時に頭に浮かぶ感じです。

もちろん、相対音感持ちのほかのメンバーも耳コピしていました。
絶対音感があると手っ取り早いけれど、相対音感でも耳コピできます。

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絶対音感のデメリット=相対音感のメリット

バロック時代の鍵盤楽器、チェンバロ

バロック時代の鍵盤楽器、チェンバロ

ここからは、絶対音感のデメリット、つまり相対音感の利点です。
古楽を勉強していると、絶対音感には不便な点もかなりあります。

絶対音感とうまくつきあいながら、バロック音楽を演奏する方法についても書きます。

相対音感のメリット(1) 古楽ピッチや移調楽器の演奏

バロック音楽を演奏するときには、便宜的な古楽ピッチとしてA=415(半音下げ)で演奏することがよくあります。

バロック時代の基準音は一様に現代のA=440より低かったわけではなく、むしろ高い地域もあったようですが、現代においてバロック音楽を演奏するときには、A=415という低めのピッチがしばしば使われています。

絶対音感を持っていると、譜面と耳に聴こえる音が半音ずれていることになります

バロック声楽を習い始めたころは、これがなんとも居心地が悪く困難に感じました。

2種類の絶対音感が身に付く!?

当時、バロック声楽の先生に相談したところ、先生の知っている音楽家で絶対音感を持っている人は、「モダンピッチと古楽ピッチ、2種類の音感が自分の中に形成された」と話していたことを教えてくれました。

この話を聞いたときは、なんのこっちゃ?だったのですが、今はA=415で歌ったり弾いたりしているときは、シがドに聴こえるようになりました!

バロック声楽習いたての頃は、気持ち悪くてわざわざ半音低い楽譜をコンピュータで作っていたのですが、今は全くその必要がありません。

A=440になっている耳をA=415に変えるには

しかし何も考えない状態だと、やっぱりドはドのままです。
これをA=415に切り替えるには、一度A=415に調律したチェンバロでハ長調の音階を弾いてみて、それからⅠ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰのカデンツを弾いてみる――すると、古楽ピッチに切り替えられます。

この方法は音楽院のチェンバロの先生に教えてもらいました。
でもこれも万能な方法ではありません。
長時間モダンピッチで歌ったり弾いたあとだと、音階と和音をいくつか弾いたぐらいでは切り替わらないのです
1時間ぐらい古楽ピッチで演奏していると、耳がA=415に調節されます。

移調楽器の演奏は、相対音感のほうが有利

絶対音感があると、移調楽器の演奏はかなり気持ち悪く感じるでしょう。
古楽ピッチのように半音ぐらいならまだしも、E♭管のサックスやF管のホルンなど移調楽器のように3度も4度も違ったら、大変そうだなと思います。

相対音感のメリット(2) 無伴奏の合唱曲

古楽の分野で歌う宗教音楽には、ゴスペルのように無伴奏のものもあります。
無伴奏で多声音楽を歌う場合、メンバー全体が下がってきたら合わせてピッチを下げなければならないし、上がってきたら合わせて上げなければいけません

絶対音感を持っていると、こうしたフレキシブルなピッチの取り方が苦手な傾向にあります。
サンマルコ寺院の音楽監督の先生によると、日本人にはピアノのように一人だけ”正しい”ピッチを貫き続ける人が多いそうです。

でもこれも、練習を積めば変えていくことができます。
自分の頭の中にある音を歌うのではなく、周りの歌手と自分の声が作るハーモニーを聴くようにすれば、一緒に下がったり上がったりできるようになるのです。

相対音感のメリット(3) 平均律以外の音律で歌うとき

古楽を演奏していると、平均律以外の音律が登場するときがあります。

絶対音感の人が記憶している音程は平均律のものですから、ミーントーンなどに調律してあると和音も音階も気持ち悪く感じます。

管理人は音律の授業で不協和音を確認したり、純粋な音程に調律する練習をしたりしたときに酔ったことがあります。

ただし平均律以外の音律で歌うことは、相対音感の人でも慣れが必要だと思います。
なぜなら、相対音感でも音程幅は平均律で覚えているはずですから。

古楽で純正律の声楽アンサンブルに参加する場合、平均律に調律されたピアノで音を取ることはできません
自分の耳が頼りです。
ほかの歌手の声と自分の声が作る音程が協和音程になっているかどうか、判断しなければなりません

ピアノの鍵盤が作る音程がオクターブ以外すべてわずかに不協和音だなんて、初めて知ったときは未知の世界への扉がひらいた気分だったよ!

大切なのは向上心とか、トレーニングとか色々ありますが・・・

大切なのは「慣れ」
脳は何歳になっても発達するそうだから、新しいことを学んで変化させていこう!
楽しみながら学んでいくのみ!
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お子さんに絶対音感を身につけてあげたい?

絶対音感のメリットとデメリットを見てきましたが、演奏する音楽ジャンルによって、絶対音感・相対音感それぞれに長所があることが分かっていただけたと思います。

音楽をやっていくうえで大切なのは、

  • 協和音程と不協和音程を感じる耳を育てること
  • 和声感がとても重要
  • 楽しみながらつねに感覚を磨いていくこと

絶対音感を身につけたいなら幼児期がチャンス

メリット、デメリット両方あるのは分かったうえで、お子さんに絶対音感を習得させてあげたいという親御さんもいらっしゃると思います。

相対音感ならある程度大きくなってからでも身につけられますが、絶対音感は幼児期に教育を受ける必要があります
筆者自身はヤマハ音楽教室の3歳児ランド、続いて幼児科――と小さい頃から通っていたので、絶対音感が身に付いていました。

絶対音感は古楽をやっていると不便に感じることもあるけど、音楽を一生楽しんでいくのに持っていて損はない感覚。幼児のうちから音楽教室に通わせてくれた親に感謝!

絶対音感習得のために2歳から通える個人レッスン

ヤマハ以外にも、都内なら絶対音感習得を専門にかかげているコースを備えた音楽教室もあります。
新宿、麻布など東京都内に4つの教室を展開する小林音楽教室なら、絶対音感を身につけるための個人レッスンが受けられます。
耳の発達ぐあいは子供によって異なりますので、個人レッスンでひとりひとりに合わせた絶対音感の訓練ができるというのは強力です。

まずは無料の個別相談&教室見学からはじめてみるのが安心だと思います!

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