【音楽院の授業内容&試験情報】通奏低音の個人レッスンについて

通奏低音
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このページでは実際の音楽院の授業について書いてみたいと思います!

留学前、イタリアの国立音楽院でどんな授業が行われているのか興味津々でしたが、実際のレッスンの様子を説明したブログはあまり見つかりませんでした。

声楽やチェンバロの個人レッスンなら想像できますが、通奏低音の個人レッスンってどんなことをしているんだろう? と思っていました。

このページでは、通奏低音のレッスンを例に、音楽院の個人レッスン科目の授業風景をお伝えしていきたいと思います。

(写真は音楽院の教室です。オルガン、グランドピアノ・・・と色々な鍵盤楽器が並んでいます)

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通奏低音とは?

バロック時代に特有の伴奏システムであり記譜法です。
バロック時代は「通奏低音の時代」と言っても過言ではないほど。

通奏低音の仕組みと数字の読み方

  • 楽譜には旋律楽器のほかには、バッソの旋律(ベースライン)のみが書かれており、和音は書いていない。
  • 他声部を参照しながら和声を判断する
  • 誤解のありそうな箇所には、作曲家が数字を振っている。
  • ハ長調の場合、ドの上に6と書いてあったらドミラ、ソの上に46と書いてあったらソドミと弾くなど、音程を示している。35の場合は書かずに省略する。
  • コンティヌイスタと呼ばれる伴奏楽器の奏者――チェンバロ、オルガン、テオルボなど――は、この数字付き低音の楽譜を見ながら即興的に和声を弾く
    これをリアリゼーションと呼ぶ。

実例を挙げたより詳しい説明は、「通奏低音講座基礎編~数字の読み方と弾き方~」の記事をお読みください!

実際の譜例

アントニオ・ロッティ(1667-1740)のカンタータ

アントニオ・ロッティ(1667-1740)のカンタータ

この楽譜は歌の旋律とバッソの2声に見えるが、チェンバロ奏者が実際に伴奏をするときは、楽譜に書かれているヘ音記号の旋律を左手で弾き、右手では即興的に和音を奏でる
ロッティはまったく数字を振っていないので、歌の旋律から和声をみきわめる必要がある
なお前奏の1.2小節目はテノール記号で書かれている。
前奏部分は歌の旋律もないので、バッソの旋律だけから和声を判断する。
一例としては、Ⅰ→Ⅴ→Ⅱ7→Ⅰ7→Ⅶ7→Ⅰ4/G7→Ⅰ。
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ヴェネツィア音楽院の古楽科の必修実技科目

まずは、個人レッスンが受けられる実技科目の概要からお話しします。

ヴェネツィア音楽院の古楽科では、レベルⅠ(学士過程に相当)、レベルⅡ(修士課程に相当)ともに個人指導の実技科目が3つあります。

2014年、管理人は留学する学校を決めるためにヴェネツィア以外にも、ヴェローナ、ボローニャ、ノヴァーラの音楽院のカリキュラム(履修要覧)を調べましたが、どの学校も個人レッスン科目は2つでした。

以下のように通奏低音の実技指導を個人レッスンで受けられることも、ヴェネツィア音楽院を第一候補にした理由の1つです。

実技個人指導科目の具体例

バロック声楽科で個人レッスンを受けられる科目には、

  • バロック声楽
  • チェンバロ
  • 通奏低音

の3つがあります。

古楽科の学生は楽器に関わらず、どの専攻でも3科目の個人指導が受けられます。
例えばバロック・ヴァイオリン専攻だったら、

  • バロック・ヴァイオリン
  • チェンバロ
  • 通奏低音

となるわけです。
ただし、チェンバロ科の場合は、

  • チェンバロ
  • オルガン
  • 通奏低音

となり、鍵盤楽器を2種類学ぶことになります。
ちなみにチェンバロ科の正式名称は「チェンバロと歴史的鍵盤」科です。


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実際の授業について ~通奏低音演習~

フランソワ・クープラン(1668-1733)のサラバンド

フランソワ・クープラン(1668-1733)のサラバンド

通奏低音のレッスンでは、上記のような数字付き低音の楽譜を見ながら、実際に弾く練習をします。

この譜例はバロック時代のフランスの作曲家、フランソワ・クープラン(1668-1733)のサラバンドですが、このように実際にある曲を使って勉強しています。

はじめから即興出来るわけはないので、毎回レッスン終了時に「来週はここからここまで」と曲を指定され、1週間練習して授業にのぞみます

リアリゼーションしたものを楽譜に書き起こすと「見ないで弾きなさい」と注意されまるので、楽譜には書きません。

管理人は20代半ばまでロックバンドでキーボード・ヴォーカルを担当していた経験があり、コードネームを見ると反射的に和音を弾けます。
なので楽譜にコソっとコードネームを書き入れていますが、注意されたことはありません。ラッキー☆
五線譜に書いたらダメだけどコードネームなら書いてもOKというのが不思議。

先生による考え方の違い

はじめに述べたようにヴェネツィア音楽院では、チェンバロやオルガンなど鍵盤楽器の専攻ではない学生も通奏低音の実技が必修になっています
そのため鍵盤楽器を弾くのがとても苦手な学生が、数字付き低音譜をみながら即興演奏しなければならず、とてもハードルが高いです。
歌やヴァイオリン、リコーダーなど通奏低音をになわない専攻の学生は、通奏低音の理論を理解すればよいのであって、実際に弾けるようにする必要はないという考え方の先生もいらっしゃいます

通奏低音のレッスンを担当するのは・・・

2019年現在ヴェネツィア音楽院には、通奏低音の実技科目のために専門に雇われている教授はおりません。

  • チェンバロ奏者の先生
  • サン・マルコ寺院の音楽監督(聖歌隊指揮者、オルガン奏者)
  • オーケストラの指揮者の先生

上記3人のうちの誰かが教えて下さいますが、チェンバロ奏者の先生に習えるのはチェンバロかオルガンを専攻している学生のみです。
サン・マルコの音楽監督の先生なら古楽の専門なのですが、私たちの学年は古典派以降が専門の指揮者の先生に習いました。

管理人は2018年秋にチェンバロ科のプレアッカデミコという学部前のコースを受験して、チェンバロ奏者の先生に通奏低音を習えることになったのですが、指揮者の先生から習ったことと微妙に違う部分があります。

ピアノで通奏低音演習?

チェンバロ科になったら、チェンバロやオルガンで通奏低音を学べることになりましたが、バロック声楽専攻として通奏低音を習っていた頃は、ピアノで実践していました。
音楽院にチェンバロやスピネッタ(日本では英語にならってスピネットと呼ばれている小型チェンバロ)は少ないので仕方がないのです。

チェンバロは倍音が豊かなので、2~3音しか弾かなくても十分にリッチな響きになります。
ピアノでリアリゼーションしたらスタイルが変わってしまうので、本来はチェンバロで演習することが望ましいと思います。

2年目は作曲の授業だった

バロック声楽科の学生として通奏低音演習を学んだ2年目は、バロック時代の作曲家の作品からベースラインだけを抜き出し数字を付したものに、2声の旋律をつけるという、ほとんど作曲のような授業になりました。
実に楽しかったです!
これは、我々が習った指揮者の先生の考え方によるものです。・・・実際に弾けなくても理論が分かっていればよいという。

作った曲は学生同士で初見で演奏します。
それも含めて楽しい授業でした。

通奏低音の授業で、実際に管理人が提出した課題です 

実際の提出物(通奏低音課題)

実際の提出物(通奏低音課題)

この課題では「Bass」の旋律が教科書に載っています
オリジナルはヘンデルによるものです。
そこにソプラノとアルトの2声を付けて美しい曲に仕上げるという課題です。
「Armonia semplice(単純な和声)」は、理論的にはどの和声を付けるかを勉強のために書いているものです。

音楽院ではこのように、宿題で譜面を書く際、コンピュータで打ち直してくるよう求められることもあります。
教授によって異なりますが、日本の音大も今は同じでしょうか?
楽譜作成ソフトを使ったことのない学生は苦労していました。

管理人のおすすめは無料で使える「MuseScore」です。
こんなソフトが無料で使えるなんてすごい時代になったものですね!
実は2000年代初頭、まだボカロブームが起こるずいぶん前からDTMをやっていたので、時代の変化を感じます。
ちなみに最初に買ったソフトはSSW Lite 4でした(学割が使えた)。


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試験? それともレポート提出?

通奏低音演習は、カリキュラムによれば1年次は出席日数のみでの単位認定、2年目は試験ありとなっています。

実際は、試験というよりレポート提出のような形式で単位認定されました。

上記に譜例としてあげたヘンデルの通奏低音課題のような2声の作曲課題を提出しました。

毎回授業では、学生が書いてきた課題を添削してもらいますが、試験用の課題はもちろん添削してもらうことなく、一人で作ります。
その課題のできばえによって点数が付けられます

管理人は通奏低音や和声法、対位法などの理論系の科目が得意なので、30点満点中30点でした。

でもこうした理屈っぽい性質は、声楽には向きません。
歌う時は、もっと感情的・感覚的な部分を外側に向けて表現できないといけませんね。

まとめ

今回は実際の授業を例に、イタリアの国立音楽院の授業内容をお伝えしましたがいかがだったでしょうか?

今後ほかの科目についても更新してゆく予定ですので、楽しみにしていてください!

今日も最後までお読みいただき感謝いたします!!

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