ヴェネツィア国立音楽院の「パートタイム」制度について

音楽院の授業
この記事は約5分で読めます。

またツイッターでコミュニケーションをとらせていただく中で書こうと思った記事です。
今回はテノール歌手の方とお話しさせていただいて、音楽院のパートタイム制度が知られていないことに気付かせていただきました

管理人自身も留学してから知りましたが、当たり前になっていたので、記事にしようという観点がなかったのです。
「学費一覧」に用紙に「パートタイム学生」という項目があって、なんだろう・・・と思っていたのを思い出しました。

なお、この制度はすべての音楽院に存在するわけではありません
ヴェネツィアにはありますが、例えばパルマ音楽院には存在しない制度とのことです。
ご指摘、ありがとうございます!!

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仕事をしながら、もしくは大学とダブルスクールする学生のための制度

パートタイム制度を使って音楽院に通っている学生の例としては・・・

  • 声楽科卒業後、オペラハウスの合唱の仕事をしながら、バロック声楽科に通っている
  • ピアノ講師の仕事をしながら音楽院に通っている
  • 留学生で、レストランのウェイターをしながら音楽院に通っている
  • ヴェネツィアの島の中にある国立大、カ・フォスカリ大学に通いながら音楽院に通っている

実際に会ったことはないですが、ヴェネツィアの島の中にある建築大学IUAV(イタリア人はユアーヴと発音する)に通いながら音楽院とダブルスクールしている人もいるそうです。
この話をしてくれたのはカ・フォスカリの学生なのですが、
「音楽と建築、両方の学位を取って将来はどちらの仕事につきたいんだろう」
と言ったら、
「そりゃあ建築でしょ。音楽は趣味だよ」
と言われ、若干悲しくなりました。
建築大学の学生本人の言葉ではないので実際のところは分かりませんが・・・。

パートタイム制度の具体的な仕組み

1年間に取得する単位を2年間にわけて取得することができる

イタリアの音楽院では、学位過程、修士課程それぞれの必須単位が以下のように定められています。

  • 3年過程のレベルⅠ(Triennioと呼ばれている)では180単位をおさめること
  • 2年過程のレベルⅡ(Biennioと呼ばれている)では120単位をおさめること

パートタイム制度を利用すると、年間30単位まで取得することができます。
実技科目の授業時間数は、正規過程の学生の半分になります
つまり、正規過程では毎週あるレッスンが隔週になるということです。

パートタイム制度は「1年間を半分に分ける」制度なので、2年間連続でパートタイムとなります。1年間だけパートタイム学生になることはできません

例えば・・・

  • 1年目=60単位取得
  • 2年目=パートタイムで30単位取得
  • 3年目=パートタイム2年目として、30単位取得
  • 4年目=正規過程の3年目の授業をとって60単位取得

理論上はこんな感じです。

よって、以下のような例では、4年目だけパートタイム制度を利用することはできません。

  • 1年目=順調に60単位取得
  • 2年目=アルバイトが忙しくなり50単位取得
  • 3年目=演奏活動とアルバイトの両立が難しく40単位取得
  • 4年目=残り30単位を取得←30単位以内だからといって、パートタイム制度を使うことはできない

上記の例では2年次がはじまる前にあらかじめ、パートタイム制度に登録しなければなりません。

学費は正規の60%になる

例えば年間学費が10万円だった場合、パートタイムの学生の学費は6万円となります。

音楽院の学費は、コース、学年、年度によって異なります

残念ながら毎年100ユーロずつ上がっています。
世帯年収、持ち家、貯蓄などから判断される奨学金制度があり、これを利用すれば年間学費を0円にすることも可能です。
しかし実際これを利用しているのは南米からの留学生など、平均年収の低い国の留学生です。
彼女の母国では月5~6万あれば生活できるそうで、こうした物価の安い国から来た人は奨学金を得やすいです。
一方、ポルトガルなどユーロを使っている国は、イタリアより物価が安いようですが、奨学金を受ける時には南米のような物価の安い国と比べると不利になります。


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知っていたら利用したのに・・・

管理人がパートタイム制度について理解したのは、2年目の学費をおさめたあとでした。

ちなみに2年次の学費は1年次が終わった6月末ごろにおさめました。

知っていれば、2年次をパートタイムにして2年間に分割していたと思います。
2年次、管理人は音楽教室のピアノ講師の仕事をしていて、音楽院の勉強との両立が本当に大変でした。
20人近い生徒さんがいたので、週4日、音楽教室に通っていました。

管理人は、イタリア外務省の所属機関であるイタリア文化会館を通して留学手続きを行い、正規留学としてイタリアに来ました。
イタリア文化会館主催のイタリア留学セミナーにも2年連続で参加し、資料にもしっかり目を通したのですが、パートタイム制度について日本で知ることはできなかったです。

学びたい意欲のある人を応援する柔軟な仕組み

上記の文化会館で説明会で、

「イタリアの国立大学の学費は、平均的な勤め人の一ヶ月の収入を越えないように設定してあるから20万円程度なのです。
1ヶ月働けば、だれでも1年間学べるようにという考えです」

という話があって、とても印象に残りました。

イタリアの大学はほぼすべてが国公立で、人口は日本の半分程度なのに対し、全国に約90校ほどあります。
これに加えて、国立大学よりさらに学費のおさえられた音楽院が約60校、そして美術学院が約20校あると知って、大変驚きました。

学びたい意欲のある人を応援する社会だと感じます。
音楽院には年齢制限がないので、小学生から、髪の白くなった方まで、さまざまな年代の人が学んでいます。

パートタイム制度も、こうした柔軟な社会ならではの便利な仕組みだと思います。

まとめ

今回は、イタリア国立音楽院の「パートタイム」制度について書いてみました。

この制度を利用すれば、語学に自身のない人は語学学校との併用で音楽院留学ができます
個人レッスンが選べる語学学校なら、音楽院の授業との両立もより簡単になります。
また経済的に不安のある人は、就学ビザでも週20時間まで働けますので、仕事をしながら音楽院に通うことができます

イタリアで日本人ができる仕事については別記事で書こうと思いますが、本当に簡単にまとめると、

  • 都市部なら仕事がある
  • 日本人は日本人を雇いたがる傾向にあるので、日本人コミュニティに属していると、仕事がみつかりやすい
  • イタリア語、日本語のほかに英語ができると、ヴェネツィアのような観光地で仕事をみつけるのに有利。

といった感じです!

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