チェンバロの夏休みの宿題が多くてびっくりな話

チェンバロ、通奏低音の夏休みの宿題チェンバロ
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イタリアは日本より一歩早く夏休みに入ります。
怠けているわけではありません――梅雨がないので夏が来るのが早いのです!

ヨーロッパは高緯度のわりにあたたかいという知識はありましたが、実際来てみるとヴェネツィアは北東イタリアなのに本当に夏暑く冬あたたかいです。

ヨーロッパの夏は暑くてもカラっとしている?
ヴェネツィアに限っては、それはありません。一年中湿気てますから。
6月後半にはすでにサウナのようです。

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チェンバロ科プレアッカデミコ・コース1年目の宿題

管理人は現在、バロック声楽科でレベルⅠ(Triennio)の3年生、チェンバロ科でプレアッカデミコの1年生です。

プレアッカデミココースに関しては過去記事の「プレアッカデミコ・コースとは」をお読みください。

イタリアは秋に新学期ですから、この6月でちょうど1年目が終わったところです。

秋学期制の国々では学年をまたぐから、夏休みの宿題がないって聞いたことがあるんだけど……デマだった!

今まで声楽でも多少宿題は出ていましたが5曲程度だったので、今回チェンバロの先生から楽譜どっさりと、さらに加えて通奏低音の宿題まで出されて、声楽と器楽は違うな~と実感したところです。

この記事を読むと、イタリアの音楽院チェンバロ科で1年間勉強した学生が、どれぐらいのレベルを求められているのかが分かるかも知れません。

まあチェンバロの場合ピアノと違って「何を弾いているか」より「どう弾くか」が重要な気もしますが……

夏休みの宿題 曲目リスト

J.S.バッハ

  • 2声のインベンションを3曲
  • 3声のインベンション(シンフォニア)を3曲

曲は自由に選べます。
2声のほうは今までに、No.1、No.8、No.13と弾きやすく親しみやすく簡単な曲はレッスンで弾いてしまったので、次に簡単そうなNo.3、No.4、No.14をやっていこうと思います。

3声はNo.1しかやってないから選び放題だな……
調、難易度、曲調の好みから考えてNo.2ハ短調、No.11ト短調、No.13イ短調を選びました。

バッハ シンフォニア 難易度」などのキーワードで検索すると色々なブログが出てくるのですが、みなさんそれぞれ異なる順番を提示していて面白いです。

2声のインベンションのころは初歩だから、誰にとっても簡単な曲、難しい曲がおおむね一致するけど、3声に進む頃になるとある程度個性が出てきて、得意な曲調が人それぞれ異なるからかも知れませんね。

管理人は3拍子の曲が弾きやすく(歌いやすいのも3拍子か、はねたリズムの曲)、#より♭の調が読譜しやすく、左手が伴奏に徹しているより対位法的に動く曲のほうが好きなので、こういう選択になりました。

フィッシャーの組曲

ドイツの作曲家、J.C.F.フィッシャー(1656-1746) の組曲「音楽のパルナッソス山 – メルポメネ(Musicalischer Parnassus: Melpomene)」です。

  1. Praeludium
  2. Allemande
  3. Passepied
  4. Rondeau
  5. Chaconne
  6. Gigue
  7. Bourée
  8. Menuet I (Alternativement)
  9. Menuet II

5番目のシャコンヌだけすでに勉強しました。
簡単なのに素敵な曲ばかりで、素晴らしい組曲です。
弾きやすいのに美しい曲って嬉しいです。

iTunesでの試聴はこちら
フィッシャーのチェンバロ組曲集。19曲目から28曲目までが「メルポメネ」です。

 

スカルラッティのソナタ

ドメニコ・スカルラッティのソナタです。

  • K14   ト長調
  • K208 イ長調
    カンタービレでとてもきれいな曲です。先日コンサートで聴いて感動しました。
    好きなので、K208だけご紹介。

ガルッピのソナタ

in Re minore, Andantino e Presto

ガルッピらしい、良い意味で「耳なじみのよい曲」です。

チェンバロではなくピアノ演奏によるガルッピのソナタ集ですが……
4,5曲目が該当のニ短調のソナタです。

多声音楽のインタヴォラトゥーラ

インタヴォラトゥーラとは、声楽曲を器楽曲に編曲したもの

以前の記事、「ルカ・マレンツィオの多声音楽」の説明で多少詳しく書いています。

今回はチプリアーノ・デ・ローレ(1515?-1565)の「4声のマドリガーレⅠ」(1547年)より「Ancor che col partire」のインタヴォラトゥーラです。

通奏低音の宿題

曲を弾く課題だけでなく、通奏低音の宿題も出ています。

通奏低音の教科書「18世紀の通奏低音演習の基礎」からフランス編

Jesper Bøje Christensen著、マリア・ルイーザ・バルダッサーリ(イタリア語)訳「Fondamenti di prassi del basso continuo nel secolo XVIII -Metodo basato sulle fonti originali-(18世紀の通奏低音演習の基礎 ~当時の教本にもとづいたメソード~)」という150ページぐらいの教科書(練習問題付き)があるのですが、この本の前半3分の1をすべて自習して来いという宿題です。

この本「18世紀の通奏低音演習の基礎」は3つの章からなっていて、それぞれフランス、ドイツ、イタリアと国ごとのスタイルが学べます。
フランスが一番簡単で、イタリアが難しい――定型的ではないため一筋縄でいかない――そうです。
フレンチ・スタイルだけでも50ページ以上あるのですが、現代イタリア語に翻訳された解説を読んで、理解し、演習を解いて暗記してくるという課題です。

各調ごとに和音の位置を暗記

長調、短調それぞれ調号4つまで、3度・5度・8度の3種類のポジションでの和声付けを暗記してくる宿題です。

分かりにくい説明になってしまったので、下に写真を載せます。
イタリア語の説明では例えば3度ポジションだったら「Scale armonizzate in terza」=3度で和声付けした音階、と書かれています。

3度というのは、右手の和音のトップノートが、バスに対して3度になっている――つまりBasso=DoのときにCメジャーの和音を弾くなら、Sol-Do-Mi(第二転回形)を弾くということです。

通奏低音奏者ってこういう表を暗記していたのか!?と驚きました。
今まで習慣と感覚で乗りきっていたので……

和声付けした音階の例

和声付けした音階の例

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おまけ ~バロック声楽の宿題は?~

バロック声楽のほうは直前まで宿題を言い渡されませんでした。

見捨てられたのかと不安になり(苦笑)、自分から
「夏休みの宿題は――?」
と訊いてみたら、
「卒論進めるんでしょ。卒業演奏会のレパートリーを考えて練習しておけばいいじゃない」
と。
卒業演奏会は来年の夏で、その前に声楽Ⅲの期末試験があるので、そっちの譜読みをしたかったのですが……

学生が曲を選ぶというシステムの教授も多い中、私の先生は「試験用に自分で曲を選んだほうがいいですか」と訊いても「私が考えるからその必要はないわ」と言ってすべてレパートリーを選んで下さる先生です。

1年次、2年次ともに期末試験の前に時間が足りなかったので、今回こそは早めに用意したいと思いつつ、勝手に曲を選んでも試験のプログラムには加えられないから、やきもきしながら待つしかないです。

結局、夏休み明けに卒業するbiennio(大学院修士相当)の学生の卒業演奏会で、2曲マドリガーレを歌うことになりました。
1600年前後に作曲された2声のマドリガーレの楽譜をわたされたので、一応夏休みの宿題的なものになりました。

とはいえ、チェンバロと通奏低音の宿題のボリュームが多い上、卒論も進めたいので、声楽でも楽譜どっさりじゃなくて良かったのかもしれません。

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