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モーツァルトのオペラに合唱で参加してチェンバロの重要性を再確認した話

チェンバロ
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モーツァルトのオペラでも、チェンバロは大活躍する楽器だよ!

チェンバロってバロック時代の楽器じゃニャいの?

No, No! モーツァルトの時代はまだ現代のピアノは完成していないよ。

そういえばモーツァルトやロッシーニのオペラでは、レチタティーヴォでチェンバロみたいな音が聴こえるかも!

そうだね! でもチェンバロが活躍するのはレチだけじゃニャい。合唱でモーツァルトのオペラに参加して分かったチェンバロの重要性について語るよ!

先日、フェッラーラ市民劇場でモーツァルトのオペラ『フィガロの結婚』に合唱で参加しました(画像はリハーサル時に舞台裏で撮影した小道具です)。

舞台で歌っているときチェンバロの音に助けられたので、チェンバロ好きとしては嬉しく、記事にすることにしました!

モーツァルトなどのオペラにおけるチェンバロの役割

ラ・フェニーチェ劇場のサロンホールで撮影したチェンバロ

ラ・フェニーチェ劇場のサロンホールで撮影したチェンバロ

モーツァルトなど古典派時代のオペラを聴くと、レチタティーヴォで活躍するチェンバロはよく聞こえます。

でも実際舞台に立ってみたら、チェンバロの音は融通の利くメトロノームのようにリズムキープの役目をになっていることに気付きました。

リズムを教えてくれるのは、指揮者の役目じゃないの?

指揮は目から入る情報。舞台に立っているといつも指揮が見えるとは限らない。耳からリズムをキャッチできるチェンバロが助かるニャ!

そもそも今回のモーツァルトのオペラでは、合唱で参加した我々はあまり指揮を頼れなかったのです。

指揮者よりチェンバロを頼った理由

今回モーツァルトのオペラに合唱で参加した学生たちが、指揮を頼りにできなかった理由は2つありました。

オーケストラ指揮者の打点が分かりにくい・・・

合唱だけの練習では、音楽院の合唱の先生の指揮や伴奏で歌っていました。
が、通し稽古のときにオーケストラの指揮者の打点が分かりにくいことが判明・・・
打点というのは、例えば4分の4拍子なら「1,2,3,4」という拍のところでいったん止まるか、動きが折り返している点のことです。

合唱の学生たちのあいだで、指揮がオーケストラとずれているように見える、拍が分からないなどと話していました。
そのせいで指揮を見ていると合唱がオケから遅れるというまずい事態に・・・

劇場に合唱の先生が来られないときは、指揮科の学生が指揮をして練習していました。
彼の指揮は打点を下に取る一般的な指揮で分かりやすいのです。
彼が言うには・・・
「あの指揮者のやり方は打点を上に取っていると思う。ドイツの流派だろうか・・・分かんないけれども」
というのですが、ドイツのクラシックから多大な影響を受けた日本で、打点を上に取る指揮が一般的というわけでもないので、ドイツの流派ではなさそうと感じましたが、謎です。

なるほど打点が上なのか、ということにも、合唱メンバーは彼の言葉で気づいたので、その後のリハーサルでは舞台袖で待つ間モニターを見ながら、みんな指揮者の振りをまねしていました。「ここが拍だよ。やっぱり上だよね」とか言いながら・・・

そもそも指揮者が見えない

事前に合唱の先生から、「フェッラーラ市民劇場は響きがよく、広すぎず、美しい劇場だが、オーケストラピットがとても深い」という話を聞いていました。

劇場に行ってみたら、オケピが深いというか舞台が高く感じるというか・・・
指揮者はもちろん指揮台に乗って振っているのですが、合唱は30人近くいるので動きの中で後ろのほうになってしまうと、まるで見えません。
管理人の身長が合唱メンバーの中で2番目か3番目に低かったのというも原因です。

舞台から見える位置に指揮者の映るモニターがあるのですが、これを見上げて歌うと演技上、明らかに不自然なときがあります
すぐ目の前にいるソリストたちに話しかける歌詞を歌っているのに、あさっての方向を見上げて歌っていたら、物語上不自然です。


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モーツァルトのオペラでチェンバロの音色が聴こえるのか?

チェンバロの構造

ピアノよりずっと細いチェンバロの弦

オーケストラの音量にチェンバロは勝てません。
でも高音域のシャカシャカという響きだけは、突き抜けてくるのです。

オーケストラと合わせたあとに合唱だけで集まった時に、指揮科の学生からアドバイスがありました。
「オーケストラとずれるから指揮は見ないように!
かわりにチェンバロのティンブロ(響き)を聴いて
イントネーション(音の高さ)はオケの響きと混ざって聞こえないけど、シャカシャカいってる倍音だけは聴こえるでしょ。
あの響きを頼りにリズムを感じて!」
ということで次の出番からは、みんなチェンバロの響きを聴きながら目ではなく耳でテンポを感じるようにしました。
するとしっかりオケとも合ってバッチリ。
私も、背が低いせいで全然指揮者が見えないぞ・・・と不安になることもなくなりました。

が、チェンバロの音色に集中するとよけいにチェンバロが弾きたくなるという欠点が・・・!!

ちなみにオーケストラのいないコレペティと歌手たちだけのリハーサルにもチェンバロ奏者が参加していて、オケのパートを弾くピアノとチェンバロが共演する形になるので、聴くことのない響きになっていて面白かったです。

バロックオペラ公演に参加したときは、オケのいないリハではチェンバロだけが伴奏でした。
モーツァルトの活躍した古典派の時代のオペラと比べ、バロックオペラではオケの楽器数も少ないからだと思われます。

モーツァルトのオペラでチェンバロの重要性を実感

 

モーツァルト《フィガロの結婚》を歌ったフェッラーラ歌劇場

モーツァルト《フィガロの結婚》を歌ったフェッラーラ歌劇場。舞台から見た客席

というわけで、オペラの合唱に参加してチェンバロの重要性を再確認した話でした。

バロック音楽の合奏ではチェンバロは欠かせない存在ですが、例えばコンチェルト・グロッソのトゥッティやリピエーノ部分では弦楽器の数が増え、チェンバロは聴こえにくくなります。
それでも倍音はしっかりと聴こえているからこそ、合奏に欠かせない存在なのだと納得しました。

ジャズやロックのバンドでドラマーが、曲を通して鳴らし続けているハイハットシンバルみたいなものですね。

バロック時代のオペラでは、作曲家はチェンバロを弾いていたといいますが、まさに指揮者の役目だったのだと思います。

しかし・・・我々合唱は「指揮が分かりにくいからチェンバロを聴こう」なんて言っていられますが、オケのメンバーはどんな指揮者が来ても、どんな流派で振られても、その意図をただちに汲んで演奏しなければならないんですよね・・・

特にチェンバロは責任重大。
オペラ公演のチェンバロ奏者はとてもかっこよく見えて憧れますが。
バロックオペラではレチタティーボ部分だけ指揮者がチェンバロを弾く公演もありますが、通常はアリアもレチも絶え間なく弾き続けているし、リハーサルも全参加だし、色々な意味で責任の重い役割だと思います。

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