今回は留学に関する記事です。
イタリアの国立音楽院には英語だけで勉強できるコースはある?
この記事では、イタリアに音楽留学したいけどイタリア語の習得に不安がある方にむけて、
- 英語で声楽レッスンを受けるイタリア留学の方法
- 国立音楽院に通うのに必要なイタリア語のレベルはどれぐらい?
- イタリア語の効率的な勉強方法
について書きます。
ちなみに筆者は日本で働きながら、イタリア語を2年間独学後イタリアの音楽院に入学しました。
イタリア国立音楽院は英語で留学できない
今後グローバル化にともなって変化していく可能性はあります。
でも2020年現在は、イタリア国立音楽院は英語で留学できません。
イタリアで音楽を勉強したいなら、イタリア語の習得が必須ってこと? 英語で留学することはできないのかな……?
国立音楽院に入学しなくても音楽を学ぶ方法はあります。
国立音楽院に入らず英語で音楽を学ぶ方法
- 英語の話せる先生を探して個人レッスンを受ける
(3ヶ月以上滞在したい場合は、語学学校に通う必要がある) - 音楽コースのある語学学校に入る
以下、解説します。
英語で個人レッスンを受ける
英語を話せるイタリア人声楽家の先生に個人レッスンを受ける方法です。
筆者がはじめてイタリアに留学した2016年4月、二人の先生から英語で指導を受けました。
イタリア人は一般的に英語が得意ではありません。でも音楽家は海外でコンサートの機会が多いので、英語でレッスンしてくださる先生も多いですよ。
音楽コースのある語学学校
個人で先生を見つけるのが難しい場合は、音楽コースのある語学学校に通うのもひとつの方法です。
語学学校はイタリア各地にあります。ヴェネツィアの場合はIstituto Venezia (イスティトゥート・ヴェネツィア)。
語学学校によっては料理コース、美術コース、音楽コースなどがそろっています。
それぞれの語学学校に特色があるので探してみましょう。
イタリアの語学学校の情報は、
- イタリア文化会館のWebサイト
- 留学情報サイトSchool With
で得ることができます。
短期留学の手順については、過去記事「イタリア短期留学の準備」に書いています。
90日を越える滞在は語学学校必須
観光ビザでは90日を越えて滞在することはできません。
学生ビザを習得するために語学学校に通う必要があるので、イタリアに来てからイタリア語を勉強するパターンです。
語学学校に入るなら結局、イタリア語の勉強からのがれることはできないんだにゃ……
でも語学学校なら国立音楽院のような入学試験がないんだから、
「入試を突破できるレベルのイタリアを身につけなければ」
というプレッシャーから解放されるよ。
では国立音楽院に合格するには、どの程度のイタリア語力が必要なのでしょうか?
イタリア語を勉強して国立音楽院に入学するのがおすすめ
国立音楽院で勉強している筆者は、やっぱりイタリア語をしっかり勉強することをおすすめしたいです!
参考記事 留学先の大学・音楽院の選び方
イタリア語の勉強と国立音楽院留学をすすめる理由
- 年単位の長期留学をするなら、語学学校より国立音楽院のほうが経済的負担が少ない
- 声楽の場合、イタリア語は音楽にも役立つ
- 教授のレベルが高い(例外もある)
さらに音楽院の学位取得コースに行くと、
- 専科の実技だけでなく、興味を持ったさまざまな科目を学べる
- ラウレアもしくはディプロマを取得できる
国立音楽院の入学に必要なイタリア語レベルは?
どの程度のイタリア語力が求められるのか? 各音楽院によって異なります。
イタリア語能力検定試験でB2を取得していれば安心だけど、B1やA2、検定試験を受けていない人も入学しているよ。
イタリア教育大学研究省の認定するイタリア語試験。
現在4つの機関が実施している(シエナ外国人大学、ペルージャ外国人大学、ローマ第三大学、ダンテ・アリギエーリ協会)。
日本のイタリア語検定は、日本国内でならイタリア語能力を証明するために使えるが、現地ではイタリア教育大学研究省の認定するイタリア語試験のスコアが必要。
筆者はA2レベルを取得して留学しました。
ヴェネツィア音楽院の2016/2017年度入試では、B2以上取得者でない場合はイタリア語試験を課されました。イタリア人の先生と会話するだけです。
この試験でうまくしゃべれない場合は、入学後イタリア語の授業を受けなければならないという仕組み。
とはいえ、外国人入学希望者が多すぎる場合は、イタリア語試験で振り落とす可能性も考えられます。さらに……
最低でもA1レベル程度は勉強しておかないと、イタリア文化会館の語学チェックで振り落とされるぞ・・・
ちなみにイタリア文化会館のWebサイトには、
大学(英語のコースを除く)・音楽院・美術学院の留学では、まず就学ビザ取得のために生活での必要最低限のイタリア語が必須とされ、確認のために当館の私費留学説明会で語学試験を実施します。
その後、各教育機関での入学試験でも語学でイタリア語の試験が実施されます。
(イタリア文化会館Webサイト Q & A ページより引用)
と書かれています。
この語学試験、筆者はA2レベルを取得していたので免除されました(2016年)。
国立音楽院留学のための効率的なイタリア語勉強法
- 自分の脳にあった暗記パターンで勉強する
- 勉強する本の数はしぼる
自分の脳が得意とする暗記法をみきわめよう
あなたは目から覚えるタイプ? 耳から覚えるタイプ? それとも書いて覚えるタイプ?
風邪薬のCMみたいだな……
自分の暗記のパターンなんて分からないよ。
子供のころのテスト勉強や受験勉強を思い出してみましょう。
たとえば筆者の場合は、漢字や英単語を書いて覚えなかったので「目から覚えるタイプかな?」と思っていました。
それで、イタリア語単語に絵がついている本で勉強し始めました。
でも意外と、さまざまな単語を絵で表すのって難しいんですね……
なかなか覚えられず、耳から覚えられる単語帳を試してみることに。
これが大正解で、ウォークマンに入れて通勤電車の中で聴いているうちにどんどんイタリア語単語を覚えていきました。
実際イタリアに留学してみたら、この本を持っている日本人に何度も出会いました。
「これなら覚えられるイタリア語単語帳」は大人気だった!
参考記事 『これなら覚えられる! イタリア語単語帳』レビュー
勉強する本は2~3冊にしぼろう
たくさんの本に浮気するよりも、単語はこれ1冊、文法はあれ1冊、と決めて集中的に勉強したほうが効率的です。
- 最低限のイタリア語単語
日常語、音楽用語、文法用語 - 基礎的な文法
条件法、接続法は学ばなくても大丈夫。動詞の活用は、近過去、半過去は必須、未来法もできるならやっておこう。 - 耳をきたえる
Netflix (ネットフリックス)を活用 - イタリア語能力検定試験を受けるなら過去問を解こう。
仕上げに現地の語学学校で会話を習得
イタリア語単語
日常的な基礎単語は上記で紹介した本でもよいですし、自分が暗記しやすい構成の本を一冊買って覚えましょう。
音楽用語
ト音記号をChiave di solといったり、シャープをdiesis, フラットをbemolleというなど。ページはpagina、小節はbattutaなども分からないと授業についていけなくなります。
音楽用語は一般的な単語の本には載ってないにゃ・・・辞書で調べておかなきゃ。
文法用語
主語をsoggetto, 動詞をverboなどですが、これが分かるとイタリア語の語学学校に通うとき便利です。
辞書について
筆者は電子辞書を使っています。英和・和英辞典として使っていたカシオのEx-wordにイタリア語を追加インストールしました。
イタリア語文法の初歩
文法の本も1冊気に入ったものにしぼって勉強しましょう。
書店で立ち読みしたり図書館で借りてみたりして、字の大きさやレイアウトがやる気になるものを選びましょう。
筆者が気に入って使っていたのがこの本。
辞書なし、入門、最初歩と3拍子そろった超初心者向け設定。でもイタリア語能力検定試験B1レベルぐらいまで余裕でカバーしています。
参考記事 イタリア語独学文法編!初心者におすすめの本、まずはこれを使おう。
こちらの記事で『入門 イタリア語の最初歩』についてレビューしています。
初心者向けをアピールしまくってるだけあって、分かりやすい説明、読みやすいレイアウトがお気に入り。やる気にさせてくれるにゃん。
イタリア語の響きに耳を慣らす
イタリア語に耳を慣らすのに便利なのが、Netflix (ネットフリックス)です。
音声・字幕それぞれの言語を選ぶことができるので、
- 初歩のうちはイタリア語音声&日本語字幕で見て、
- 次に音声も字幕もイタリア語、
- 最後に字幕を消してイタリア語を聞き取ってみる・・・といった使い方が可能。
イタリア語能力検定試験を受けるなら過去問を解こう
日本で受けやすいイタリア語能力検定試験はシエナ外国人大学が主催している「CILS(チルス)」です。
イタリア文化会館のイタリア語学校Webサイト内、CILSのページにPDFで過去問が置いてあります。
会話はイタリアの語学学校で習得しよう
語学学校ではドイツ語圏などほかのヨーロッパから来たイタリア語学習者たちと、イタリア語会話の練習がたくさんできます。
結論:国立音楽院は英語留学できないのでイタリア語を学ぼう
ということで、イタリアに音楽留学するならイタリア語を習得しよう!
イタリアの街の人はそんなに英語が話せないので、イタリア語会話をマスターすることは日常生活にも有利にはたらきます。
勉強をはじめてみると、単語とつづりが一致しているので覚えやすいし、母音・子音ともにはっきり発音するので聞き取りやすいし、単語も意外と英語と似ているものが多かったりして、すらすらと進みますよ!
そのほかのイタリア音楽留学・筆者の通うヴェネツィア音楽院についての記事はこちら。
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