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留学先の大学・音楽院の選び方5つ。ヴェネツィアを選んだ理由は?

留学先の大学の選び方 長期留学
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留学したい国は決まっているけれど、どうやって学校を選んだらいいのかな?

こんな疑問を持っている方に向けて、留学先の大学・音楽院の選び方を5つのポイントにまとめました。

この記事を読むと分かること

  • 留学先の学校を決める際に何が重要か、優先順位が分かる
  • 失敗しない学校選びができる

筆者は2014年に、インターネットとイタリア文化会館の情報を駆使して志望校をしぼり、2016年4月、短期留学時に現地を見て決定しました。
2016年秋からヴェネツィアの音楽院に通っていますが、自分の選択は正しかったと満足しています!

どのように留学先の学校を決めたのか、経験を交えて書いてみました。

学位取得を目的としない短期留学については「留学先の選び方。語学習得・音楽レッスンー留学目的に応じた方法を解説」に書いています。

留学先の大学や音楽院の選び方

ミラノ市立音楽院

ミラノ市立音楽院

留学先の決め方、最重要ポイント5つ

  1. 学びたいことを明確にする
  2. 払える留学資金はいくら?
  3. 大学のWebサイトをしっかり読む
  4. 教授についてリサーチする
  5. 短期留学で現地の感覚を確かめる

「何を学びたいか」が留学先を選ぶ最重要ポイント

学びたい学科のある大学を選ばないと留学する意味がありません。
自分の学びたい専攻を研究できるのかどうかが留学先の大学を決める最重要ポイントです。

また学士過程から通う場合は、修士課程に進み、同じ教授のもとで研究を続けたいかも大学選びのチェックポイントになります。

――てことは、学士過程に留学する自分も、大学院の修士課程の学部リストを同時にチェックしなくちゃってわけか!

留学のために用意できる資金はいくら?

経済的な問題は避けて通れません。
自分で働いてお金を貯めるにしても、奨学金や親族の援助があるにしても、いくら使えるのか把握した上で、(学費+生活費あわせて年間どれくらい必要なのか)×滞在年数を知らなければなりません。

学費――大学の学費は国ごとに大きく異なる

大学や音楽院の学費は、国によって大きく異なります
ドイツは安い、イタリアも結構安い――こうした国は高等教育機関のほとんどが国立です。

一方、イギリスの学費は高いです。
アメリカには日本より遥かに学費の高い私立の大学がたくさんありますが、公立校も存在します。

留学先の生活費を把握しよう

生活費も国や都市によって大きく異なるので、調べておきましょう。

ロンドン、パリ、ミラノのような都市圏では家賃が高騰します。
また、スイスや北欧のような気候の寒冷な地域は食費が高い傾向にあります。

さらに為替の問題もあります。
イギリスやスイスは物価がとても高く感じます。

「留学生枠」の有無を確認

公立の学校によっては、地域外の学生の人数を制限していることがあります。

たとえばイタリアの国立音楽院では、各学校、各専攻ごとにEU圏外学生枠が決まっています(現地で手続きをしたり語学証明を出したりすれば、のがれる手立てもあります)。

希望する大学の希望する学部に入学資格があるか、確認しましょう!

大学のWebサイトでシラバスをチェック

志望する大学のWebサイトを訪れれば、一般的にシラバス(学習指導要領)を確認できます。
ここでチェックすることは、

  • 学びたい内容が網羅されているか
  • 必修科目と選択科目のバランスは?
  • 筆記試験、レポート提出などの有無について
  • 大人数での講義科目と、少人数の授業のバランス

重要なことは「学びたい授業があるかどうか」ですが、できれば外国人学生にとっては筆記試験が多い大学より、出席だけで単位をくれる授業が多い大学のほうがラッキーですよね……

教授についてリサーチ

音楽留学の場合は担当教授がとても大切なので調べておきます。

芸術以外の大学や大学院に留学する場合も、ゼミの教授を調べておくとよいかも知れません。
日本の大学でも教授目当てで入学してくる学生もいますよね。
誰の指導のもとで卒業論文を書くのか?は重要な選択ポイントですからね。

街の雰囲気や食べ物は短期留学でチェック

ここまでインターネットを駆使して志望校をしぼったら、あとは街の雰囲気や、食べ物や気候があうかどうかを短期留学でチェックしましょう。

行ってみないと分からないこともあります。
例えば、人や車が多すぎて落ち着かないとか(ローマ)、田んぼしかなかったとか(ノヴァーラ)、学生の街だと思ったら結構治安が悪かったとか(ボローニャ)、食事がまずすぎたとか(ニューヨーク)、冬が暗くて長くて寒くて無理だったとか(ウィーン)、管理人の身の回りの人の体験だけでもたくさんあります。

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管理人が留学先にヴェネツィアを選んだ理由

ヴェネツィア音楽院の内部の様子

ヴェネツィア音楽院の内部の様子

ここからは管理人の体験談です。
実際に、どんな手順でヴェネツィア音楽院の古楽科バロック声楽専攻を選んだのか順を追って説明します。

留学先にイタリアを選んだ理由

筆者が習っていたバロック声楽の先生はイギリスで学んだ方だったので、最初はうっすらとロンドン留学をイメージしていました。
でも先生から、「歌いたい音楽や学びたい内容からどの国に留学するか決めるとよい」とアドバイスをいただきました。
2014年当時、より深く学びたい好きなジャンルは、

  1. イタリア語のバロックオペラ
  2. カトリックのラテン語の教会音楽
  3. イタリア近代歌曲

でした。
学びたいことを書き出した結果、留学する国はイタリアに決まりました。

留学先にヴェネツィア音楽院を選んだ理由

イタリアに留学するならば、マスタークラスなどで習いたい先生をみつけるか、もしくはある程度レベルの高い先生をそろえているはずの国立音楽院に入学するのがよいと思います。

特に習いたい先生が決まっていなかったので、バロック声楽を学べる国立音楽院を探すことにしました。

EU圏外学生枠が用意されている学校

生徒数の少ない音楽院の場合、バロック声楽専攻でEU圏外学生を取らないこともあります。

イタリア文化会館には、どの音楽院のどの専攻何人のEU圏外学生が入学できるのか、リストがあります

このリストから、EU圏外枠のある学校をピックアップしていきました。

学士・修士の両方に行きたい学科があるか

留学前、同じ先生に学士過程・修士課程つづけて学びたいと思っていました。
もちろん留学後に先生との相性や、自分の興味の変化で変わることもあるかも知れませんが。

学士・修士両方にバロック声楽専攻があって、EU圏外枠も用意されている学校を探したところ2014年当時は、

  • ボローニャ音楽院
  • ヴェローナ音楽院
  • ヴェネツィア音楽院
  • ノヴァーラ音楽院

の4つになりました。

学科のほかの専攻もチェック

自分が入学したいバロック声楽専攻だけでなく、古楽科のほかの専攻もチェックしました

古楽科に、チェンバロ専攻、バロック声楽専攻、バロックヴァイオリン専攻、バロックチェロ専攻ぐらいしかないと、アンサンブルの授業がつまらないからです。
ヴェネツィア音楽院には、リコーダー、リュート、テオルボ、ビオラ・ダ・ガンバなどとそろっているので、色々な楽器とあわせることができて勉強になります・・・というか純粋に楽しいです。

必修科目をチェック

同じバロック声楽専攻といっても、音楽院によってカリキュラムは大きく異なっていました。
調べながら、こんなに学校ごとに特色があるのかと驚きました。

筆者が通うヴェネツィア音楽院の必修科目については、過去記事「イタリアの音楽院カリキュラム。バロック声楽科3年間の必修科目一覧」に書いています。
以下にボローニャ音楽院とヴェネツィア音楽院の違いについて書きますが、これは数年前の話です。
ヴェネツィア音楽院では毎年のように必修科目の見直し、各科目の総時間の増減などがありますので、ほかの音楽院も同様だと思います。

もし、イタリアの音楽院の古楽科を目指される方がいらっしゃいましたら、必ず各音楽院のWebサイトを調べ、現在のシラバスを確認してください

実技が少なく、筆記試験の多かったボローニャ音楽院

ボローニャ音楽院は座学や試験のある科目が多く、古楽に特化した内容よりほかの学部の学生と共に受ける講義形式の科目が多い印象でした。

また、1年次:英語必須、2年次:フランス語必修、3年次:ドイツ語必修――イタリア語もままならないのに、イタリア語で学ぶドイツ語は厳しいと考えました。
ヴェネツィア音楽院では2年次と3年次、2年間かけて英語を学ぶだけ、と音楽院によって違いが際立ちます。

実技科目、少人数授業の多かったヴェネツィア音楽院

一方ヴェネツィア音楽院だけが、バロック声楽、チェンバロに加えて通奏低音も個人レッスンが受けられる学校でした。
3科目も個人レッスンの授業があるのは、正直お得だなと思いました。

また、音律に関する授業や記譜法の歴史、文献リサーチ手法を学ぶ授業など必修科目数は多く、古楽について広範囲深く学べる印象だったので、シラバスを見た時点では第一志望だなと思いました。

さらにヴェネツィア音楽院は試験が少なく、平常点で単位がもらえる科目が多かったので、少人数の授業なのかなと感じました。

 留学してみたら学生数が2~5人でもコースが開講されていたので、この予感は的中しました。
教授の間近で、まるでゼミのように学べるので、外国人学生の自分にとっては理解できるまで教えて頂けて本当にありがたかったです。

担当教授についてリサーチ

音楽院の教授には異動があります。
でも学校決めの時点で、Webサイトに載っていたバロック声楽担当教授について調べました。

当時のヴェローナ音楽院バロック声楽担当教授については、YouTubeを検索しても古楽のレパートリーを歌っている動画がなく、イタリア近代歌曲を歌っているテノール歌手でした・・・。

ノヴァーラとヴェネツィアの先生については、プロフィールを読んでもしっかりと古楽分野で活躍してきた音楽家であることが分かりました。 

現地へ短期留学

上記のリサーチを終え、結局ノヴァーラ音楽院とヴェネツィア音楽院の教授に会いに行ってみることにしました。

先生とのコミュニケーションから、門下に受け入れてくれそうだなというのを感じられたので、ヴェネツィア音楽院を選びました。

過去記事「音楽留学が失敗に終わる3つの要因とは?有意義な留学に必要なこと」に書いたように、事前に音楽院で自分が師事することになる先生とのマッチングをはかっておくことは大切です。とりわけ古楽科のように、各専攻の担当教授が一人しかいない場合は入学後、学校内で門下を変えることができないので……

街の雰囲気は、ノヴァーラもヴェネツィアもどちらもよかったです。
ノヴァーラは日本の田舎のような田んぼにかこまれた静かな古都ヴェネツィアは海と干潟にかこまれたにぎやかな古都――というかファンタジー世界の中に現代の服装の人が迷い込んでしまったように見えました(ちなみにノヴァーラが田舎すぎて無理というのは、筆者の意見ではありません・・・)。

留学先の大学選びのポイントまとめ

ということで最後にもう一度、留学先の学校の選び方をまとめます。

  1. 学びたいことを明確にする
  2. 支払い可能な学費・生活費かどうか
  3. 大学のWebサイトで科目をチェック(必修、選択両方)
  4. ゼミの担当教授、音楽留学なら師事する先生が重要
  5. 短期留学で最終チェック

よい学校をみつけられますように!!

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